オリンピック時間に合わせて生活しているので仕事中は眠くてどうにもなりません。でもこの会社で生きていく限りはこんな無気力状態の方がよっぽど精神的にはいい。
昨日の『NEWS23』の特集にCoccoが出演していた。テレビで彼女の姿を見るのはいつ以来だろうか。特集の内容は、彼女が故郷の沖縄で昨年から始めた「ゴミゼロ大作戦」についてのもので、今年は沖縄各地でイベントとしてではなく、皆がゴミ拾いを実践する「ゴミゼロ大実戦」についてのものだった。正直とても感動した。Coccoは歌手としてデビューしながら、大きく変わってしまった周辺環境に馴染めず故郷へと帰り、歌手としての第一線からは退いてしまった人だ。以来、沖縄での地道な歌手活動と、絵本作家としての話題を聞くことはあったが、人前に出ている彼女の姿を再び見ることができるとは思ってもいなかった。話すことが不器用で歌手時代もテレビにはなかなか出ようとしなかった彼女が、役所を巡り、人と折衝し、テレビに出演してまでこの活動を盛り上げようとする姿にはかつての痛々しい彼女の面影はどこにもなかった。もともとのきっかけは昨年の「ゴミゼロ大作戦」のイベントで子供たちと共に歌い、その趣旨に賛同して貰ったことが大きかったようだ。そして今の彼女は「生きることに絶望しなくなった」と語り、自ら率先して何かをしようとしている。彼女の語った、

一人の人間が動けば世間が動き、世間が動けば行政も動く、ということを知ってもらいたい

という言葉は決して似非ではない、彼女自身の行動から生まれた言葉だ。そしてCocco自身も実際に体験するまでは言える言葉ではなかったと思う。
アーティストという存在は、言葉や歌やパフォーマンスで人に影響を与えることができる。どれだけの音楽や芸術が人間の人生、世界情勢に影響を与えてきたのか。それは確かに計り知れないが、その「計り知れなさ」は同時に“実”が見え難い部分でもある。しかし今回の彼女の行動は違う、彼女は本来のアーティストとしての姿ではなく、一人の人間の行動として“実”を生み出した。それが素晴らしい。
自分という人間に何ができるのか、それをわかっている人間はそう多くはない。その「何か」が大きいことであれ、小さいことであれ、「何か」をすることが大切だということをCoccoは伝えようとしている。自分にもできることがある、それがCocco自身が身を持って知り、伝えようとしている何かのような気がする。なんとなく『スパイダーマン』の

大いなる力は、大いなる責任を伴う

という言葉を思い出した。この言葉からするとCoccoは間違いなく「大いなる力」の持ち主であり、その責任を彼女なりのやり方で全うしようとしていると思う。同時に、「小さな力には、小さな責任が伴う」ということでもある。それは忘れてはならないのだな、と感じた。
久々に彼女のアルバムを聴いてみよう。だが、あのアルバムで歌われた言葉たちは、もはや今のCoccoの言葉ではないだろうが。
なんてちょっと大袈裟に書いてみました。オリンピック期間中ということで、色々神経が昂ぶっているんです。