『僕の彼女を紹介します』(2004 韓国)

監督:クァク・ジェヨン、出演:チョン・ジヒョンチャン・ヒョク
猟奇的な彼女』、『ラブ・ストーリー』と個人的には大ヒットの映画を撮り続けているクァク・ジェヨン。両方ともDVD持ってるし。2003年の〆の映画が『武士 -MUSA-』で大失敗したから、2004年は信頼のおける監督の作品で、と思って12月30日に見てきました。
猟奇的な彼女』でヒロインを演じたチョン・ジヒョンを再びヒロインに据え、破天荒な婦人警官と高校教師の恋愛を描くラブ・コメディ、なんだけどそこはそれクァク・ジェヨンですから仕掛けがあるわけですが…。
見事な失敗作でした。やろうとしていることはわかるのよ。わかるだけに余計に「やっちゃったなあ…」とも思うわけです。基本的にクァク監督の演出はピンポイントで私のツボを攻めてくる。脳内の快楽傾向が殆ど一致している。だからこそ、この映画で監督がやりたいことは大いに伝わってくるんだけど、映画としては成功していない。
この映画のメインのネタってのは私が思うに二つあって、ひとつは映画全体を包む大きなネタであり、もうひとつはたった一つの台詞にかかる小さいネタ。で、その両方のネタともに自分としては監督がやってみたかったと思う気持ちは非常に理解できる。私自身、そういうアイデアから派生して台本書いたことは何度もある。ただ、この映画の一番の問題はそのネタしかない、ってことだ。それらを繋ぐストーリーとか、展開が全然面白くないのだ。
エピソードのひとつひとつは『猟奇〜』に通じていて単体では面白い。いい画だなあ、と思うシーンもある。しかし、それらが有機的に繋がってない。ハッキリいってしまえば「必要のない」シーンばかりなのだ。『猟奇〜』が素晴らしかったのは、一見単なる面白エピソードだったシーンのひとつひとつが最後にピッタリ納まったところにある。それがなければ単なるお笑い映画でしかなかった。そうではなかったからこそ名作足り得たわけで、そういう意味でも突き抜けた笑いもない本作は明らかに失敗作である。
あと、遊びだとは思うんだけど『猟奇〜』を見た人には「むむ?」と思わせるネタが出てくる。本来ああいうのは大好きなんだけど、この映画に関してはあまりうまくいってないと思った。だって、ああなるってことは「彼女」は死んじゃったってことでしょ?。それはどうなのよ。
そんなわけで2004年もまたラストを飾る映画とはいかなかった。うーん、納得いかん。今、一番期待している監督だけにショックだったわ。次回作に期待。