『オー!マイDJ』(2003 韓国)

監督:キム・ジンミン、出演:イ・ボムスイ・ウンジュ
イ・ウンジュ追悼として見たわけだが、期待しなかった割に意外によかった。
バス運転手のサンヒョン(イ・ボムス)は、夜な夜な自分の部屋でDJ番組を制作し、バスの中で勝手に流して乗客に聞かせている。ある日、恋人にフラれて移り住んできた盲目の女性・ギョンウ(イ・ウンジュ)とバスで出会う。帰り道に再び彼女と遭遇し、ひょんなことから知り合いになるが、バスの運転手であるということを隠し、さらにはDJ番組も自分で作っていることを隠して彼女と付き合うようになる。二人の関係は接近するが、サンヒョンは嘘を隠し続けるために必死になって…。
というような話なのだが、主人公のサンヒョンの設定がいい。しがないバスの運転手である自分に向き合えず、DJ番組を作って勝手にバスで流しちゃう、という驚きの設定。これだけでも結構楽しめる。ギョンウは目が見えないため、サンヒョンがDJであることに気づけないわけだが、DJの言葉を通して失恋の痛手を癒していく。その辺のもどかしさがいい。この辺の「遠回りの恋」というのは『イルマーレ』にも繋がるものがあって、韓国人は好きなのかもしれない。私も好きだが。
それ以外の点では、脚本が今ひとつ練れていなくて展開的によくわからない部分や、意味不明な台詞も沢山あるのだが、コメディタッチの演出やサンヒョンのキャラクターで持っていってしまう。しかもこれがファンタジーまでいっちゃうから全体的に相米慎二のような雰囲気(もっと垢抜けてないけど)。要所要所でサンヒョンの弟(ポン・テギュ)がいい味出してる。
原題は『アンニョン、UFO』ということで直訳すれば『UFOよ、こんにちは』とでもなるんだろうけど、UFOがひとつのテーマになってて、実はサンヒョンとギョンウだけでなく、UFOというファンタジーを通してさまざまな人々の生活を描いているのも変化があって面白い。というか原題直訳のほうが私は好きだな。
肝心のイ・ウンジュはやはりカワイイのだけれど、『永遠の片想い』の可愛さは反則級だったようで、これまで見た中では『永遠の〜』がダントツで、本作も「カワイイなあ」と思うところとそうでないところが意外とハッキリあった。角度でかなり変わる女優さんだと思う。この映画では盲目という設定なので目力があまり出てないから余計にそう思ったのかもしれない。それにしても韓国では女性が強いというか感情的なのは当たり前なのだな、ということを今回も再認識。それが理解できないとなかなか素直に見れないかもしれませんね。イ・ウンジュのファンなら見て損はないと思います。
どうでもいいことがだ韓国でも「おでん」は「おでん」なのだな。