『フライトプラン』(2006 アメリカ)

監督:ロベルト・シュヴェンゲ、出演:ジョディ・フォスターピーター・サースガードショーン・ビーン 、マーリーン・ローストン 、エリカ・クリステンセン 、ケイト・ビーハン
記憶が確かならば『亡国のイージス』見に行った時に予告編でかかってて、その時は「こりゃ面白そう」と思って見に行くつもりだったのに、公開が半年後くらいで忘れてて、おまけに思い出したときには評判最悪で結局見に行かず仕舞いになってた映画。この度TSUTAUYA半額キャンペーンだったのと98分という短さに惹かれて見てみました。
ぶっちゃけて言ってしまえば『パニック・ルーム』に続く「母は強し」というそれだけの映画。最近のジョディ・フォスターはちょっと映画選びが、といわれてるけど、どちらかといえばキャラクター選びが、という感じですね。少なくともこの映画でジョディ・フォスターが演じてるキャラクターを、私はまったく好きになれない。
数日前に夫を事故で亡くし、娘とともにベルリンからニューヨークへと帰ることになったヒロイン。搭乗する飛行機は自らがエンジン設計に携わった最新鋭のジャンボジェット。一番乗りで娘とともに座席に着き、夫の棺が格納され、やがて飛行機は離陸する。
数時間後、目が覚めた時に座席に娘の姿がない。機内を探しても彼女の姿は見当たらない。ヒロインはクルーと機長に飛行機をくまなく探すことを要求。彼女の訴えに機長は渋々従い機内の全てを探すがそれでも娘は見つからない。半狂乱になる彼女だったが、さらに追い討ちをかけるように機長はこう告げる。
「娘さんは亡くなっています」
さあ、ジョディ・フォスターは単なる迷惑妄想女なのか、それとも、という映画です。そりゃまあ、単純に終わるわけもなく色々と起こるわけですが、なんちゅうか「これでいいのか?」と思わざるを得ない。
真相に関してはさすがにここでは書きませんが、それも含めて色々な部分で無理がありすぎる。これじゃあいくらなんでも騙されませんよ。「おかしいって」って見た人の殆どがツッコミますって。伏線もないに等しいっていうか、「そっちの伏線かよ!」とやはりいいたくなる。本線の伏線も作っとけ。
とまあ、サスペンスというかミステリーとしても破綻しているわけですが、それ以上にどうなのよと思うのがジョディ・フォスターのキャラクター。冒頭にも書いたように「母は強し」なんですが、強けりゃなんでもいいのかと。ヒドイですよ、この女。言葉は悪いけどまさしくビッチです。
娘がいなくなって心配なのはわかるけど、機内の乗客への迷惑は一切無視。単純に騒ぐだけでも迷惑なのに、機体の知識がある分始末が悪い。停電はさせるは緊急事態にさせるは、貨物の車は破壊するは、思い込みで会ったこともないアラブ人を犯人扱いするはと最悪極まりない。
それらの行為に関してまったくエクスキューズがない。娘のためならオールオッケー。人殺してもオッケーですよ。せめてアラブ人に謝れ。この事件の一番の被害者は彼だよ。ラストシーンで、乗客の一人が「凄い母親だ」という台詞を吐くんですが、これは絶対誉め言葉じゃないと思う。
そんな感じで、ジョディ・フォスターがヒロインとしてどれだけ頑張ってもまったく共感もできないし、ラストを迎えても爽快感もなにもない、というとんでもない映画になってます。どうしてジョディ・フォスターがこの役を受けたのかわからないってのが本音。
とにかく見ている間中、「どうなるんだろう」というドキドキ感よりも「この女最悪」という気分の方が先に立ってしまい、まったく楽しめませんでした。関係ないけどショーン・ビーンってブラックマヨネーズの吉田に似てるよね。

フライトプラン [DVD]

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