『Number 573 Chmpions League Climax イタリアは再生したか』

欧州チャンピオンズリーグもベスト8が決定し、いよいよ大詰め。決勝戦オールド・トラフォードで戦うことができるのはどの2チームか。とはいえ、特集というほど特集が組まれてるわけでもなし。最近のNumberはPLUSに力を入れすぎて、本誌の記事が弱くなった気がする。インタビューとか少ないし。個別記事については随時更新。
昨年、一昨年のCL*1において、イタリア勢はベスト8に1チームも送ることができず、「イタリアサッカーの低迷」が叫ばれたわけだが、今季はユベントスACミランインテルの3チームがベスト8に残った。この事実をもってして「イタリアサッカーの復権」といえるのかそうでないのか。そのあたりが今号の注目点である。
結論から言えば、これで「イタリアの再生はなった」とは言えない、ということだ。今年の3チームの活躍の根底には「獲得した大物選手が名前どおりの活躍をした」という事実があるのみで、イタリアサッカー自体の底上げや、セリエのサッカーが大きく変わった、と見る向きは殆どいない。
ただ一点、ACミランのサッカーは変わった、と見ていいだろう。決して攻撃的とは言えないアンテェロッティ監督が、ベルルスコーニの意向を受けて攻撃的サッカーを目指している。それはアタッカー陣の充実振りを見ても明らかだ。シェフチェンコインザーギの2トップでも充分だったのに、今季はリバウドトマソンを獲得。この攻撃陣が爆発している。セリエA開幕当初からは弱冠守備的になったとはいえ、セリエを代表するACミランがこうしたチームの換骨奪胎を図ったことは話題として取り上げられて当然だろう。しかし、これがイタリアサッカーの新たな潮流となるかと問われれば「否」と答えるしかない。果たしてイタリアサッカーの再生はありうるのか。これはCLのトーナメントの結果や、今季移行の動向を見て行かねばわからないことだろう。
イタリアとは逆に今季1チームもベスト8に送り込むことができなかったのがドイツだが、同じようにこれをもってドイツの凋落と呼ぶのは早計に過ぎる。
さて、CL準決勝の最大の見所はなんといってもレアル・マドリーVSマンチェスター・ユナイテッドの一戦だろう。世界中が注目するこの一戦だが、その割には今号での取り上げ方は小さい。もう少し煽ってくれても良さそうなものではないか。個人的にはマンチェスターサポーターなので是非とも勝って欲しい。特に今季のCLの決勝戦マンチェスターのホームであるオールド・トラフォードだ。今年決勝まで行かずに、いつ行くのだ。とはいえ、レアルの戦力や戦術を考えると、マンチェにとって相性がいいとはあまり言えない。いや、それでもなんとか…。もうひとつのご贔屓チーム、バルセロナがこの先厳しい戦いを強いられそうなのでマンチェに期待する。ここで勝てば、と言いたいがバレンシアが上がってきたら、嫌な相手だなあ。
で、そのバルササポーターとしては『バルサはなぜ迷走したか』の前会長ジョアン・ガスパールのインタビューが興味深かった。といっても深いところまで聞けている、ということでもない。しかし、「ファンファールを呼び戻したことは失敗だった」と認めているのには驚いた。もっと早くそれに気付いてくれれば。そうなんだよねえ、バルサには「いい形でチームを去って行った」選手が少ない。このチームと気持ちいい関係を作ることはそれほどに難しいのか。それは会長以下フロントの責任なのか、そうではないのか。ガスパール自身は「バルササポーターのプレッシャーゆえ」と答えているが、プレッシャーの大きさならレアルやユーベ、マンチェにもいえることだろう。確かに、カタルーニャ人の気質のせいもあるとは思うが、ファンとしては引退後も誇りに持てるような選手、一生「バルサの選手」と言い切れるような選手を育てて欲しいと願ってやまない。
その他の記事。
先日の日本代表とウルグアイ代表の一戦のクロスレビュー金子達仁杉山茂樹で小野の評価が正反対なのが面白い。全員が全員、「黄金の中盤は見ていて面白いが、中田浩二が入ってからの方がバランスは良かった」と言っている。私自身もボランチ中田浩二と福西崇のコンビが最も良いと思っているので、「黄金の中盤」の見直しをジーコには求める。4-5-1にして「黄金の中盤」の3人を使うってのはアリだと思うけど。中盤があれだけ攻められるなら前に二人はいらない、というか邪魔だろう。先日も高原と鈴木が前で二人とも機能していたシーンは殆どなかったし。高原1トップで、1.5列目に中田、その後ろに小野か中村か稲本にして、ボランチ中田浩二、福西のコンビで問題ないと思うんだけどなあ。
先日のPLIDE25でヒョードルに敗れたノゲイラのセコンドであるマリオ・スペーヒームリーロ・ブスタマンチが敗因を語っています。両者共に1R早々ヒョードルから放たれたパンチがノゲイラの顔面にまともに入り、それが勝負を決めた、と語っています。まあ、結果的には3R闘って判定まで行ったわけですから、あの一発が全てというのは少々言いすぎな気もしますが、野球でいえばピッチャーの唯一の失投を見逃さずホームランにされた、ということなんでしょうか。私自身は、インサイドガードからあれだけパンチを放つことができたヒョードルが凄かった、としか言いようがありません。
マイケル・ジョーダン インタビュー』。今シーズンでホントのホントに引退すると公言しているジョーダン。もはや何度も聞いたようなインタビューなんですが、ますますバスケットボール教の伝道者に近づいている気がします。「愛」とか「情熱」といったこと以外に語ることなし、みたいな。まあ、「神」ですからね。現役最後のインタビューを取っておきたいということなんでしょうが。個人的にはこのインタビューにも出てくるコービー・ブライアントとかトレイシー・マグレイディ、ビンス・カーターのインタビューの方が読みたいです。私の好きなティム・ダンカンとかクリス・ウェバーとか。
そうそう、現役最後といえば、シーズン終わってからでも構わないので、提督ことデビッド・ロビンソンのインタビューは是非とって欲しいです。

*1:チャンピオンズ・リーグ