『鉄の枷』ミネット・ウォルターズ

shaka2003-04-08

ISBN:448818703X
レビュー草稿。というよりも印象的な台詞抜き出し。

「煙草は性格の弱さの表れなんですよ」(中略)
「他の人はやめられるのに、われわれにはそれができない。正直なところを言いますとね、世間がなんでわれわれ煙草喫みを社会の除け者のように扱うのか、理解できんのです。わたしは、煙草を一本吸いすぎたために女房を殴ったとか、車を運転していて子供を轢き殺したとかいうような喫煙家に、いまだかつてお目にかかったことがない。だが、酒飲みでそんなことをしたやつなら、ごまんと知ってます。わたしに言わせれば、アルコールのほうがニコチンよりずっと危険なんですよ」(P.144)

「とにかく、わたしはモラル・マジョリティーというのが苦手なんです。嫌いと言ってもいいかもしれない。誰かが、これが社会的に受け入れられた考えであると決めたからそのように振舞う、政治的に正当な人間になるくらいなら、自由なとらわれない精神の持ち主でありたいと、いつも思っています」(P.145)

「としたら、男というのがどんな生きものか、教えてやらなければな。一つ、ほとんどの男は、女に指図されなくては何をしたらいいのかわからない。セックスでさえ、女が労をいとわず男に正しい方向を示してやれば、よくなるんだ。二つ、女に較べると、大抵の男は幼稚で不器用だ。洞察力は乏しく、直観力はないに等しく、人を見る目も劣っているから批判に弱い。攻撃に遭ってうろたえるのは、そうした事態を微塵も予想してないからで、簡単に言えば、女よりはるかに傷つきやすいからだ。三つ、これらのパターンに合致しない男には、近寄らないのが賢明である。たいていは、無知無教養のふんぞり返った野蛮人で、知性などほとんどないから、自分をいっぱしの男に見せるには、そういう男に耐えられるくらい愚かな人間を相手に、威張り散らすくらいしかない。ついでならば、そういうやつは、まともな男なら誰もが豊富に持っているもの、すなわち女性に対する深い、変わらぬ崇敬な気持ちに欠けている(P.277)」

男というのはみな臆病だが、それを認める勇気のある者は、自分を含めたごく少数だけだ(P.388)