『Number 575 これが日本の生きる道』

shaka2003-05-01

日本代表総力特集。読み応えあるなあ。個別記事についてはいつものごとく随時。
トゥルシエドゥンガJリーグの監督など、22人の日本代表に対する提言が掲載されている。概ね、現在のジーコ体勢に対しては懐疑的な態度を示してはいるが、結論を出すのは時期尚早と考えているようだ。結果がすぐに出なくてもマスコミを含め、誰も責任追求に躍起にならないのはさすがは世界のジーコといえるだろう。その意味では、落ち着いて日本代表強化が図れるのでいいことかもしれない。
ただ、ガンバ大阪西野監督が懸念しているように、協会とジーコの契約などが明確になっていない(なっていたとしても明示されていない)のは気になるところである。2006年まで何があってもジーコで行くのか、予選で結果を残せなかったら辞任はあるのか、いったいどの時点で決断を下すのかが見えないのは問題がある。個人的にはアジア地区予選の一次予選、二次予選とハッキリした目標を立て、それをクリアできるのかどうかという条件はつけたいところだ。
その中でもリトバルスキーの提言は非常に重みがあり、かつ的を射ているものだと思う。さすがに理論派である。
ジーコのインタビューも掲載されている。これだけ読むと「やっぱりジーコは凄い」と思ってしまうところだが、実践できるのかどうかは別問題。果たして公約が果たせなかったとき、誰がジーコの責任を問えるのか、という点は非常に気になる。やはり川淵キャプテンになるのだろうか。しかし、そうなると協会のメンツは潰れることになるし、協会の存在自体が有名無実なものとなってしまう。ジーコばかりが前面に取り出されているが、協会の顔が見えてこないのは不安である。
「黄金の四人は絶対か」。
これに関しても多くの識者たちは懐疑的だ。皆、言っていることはほぼ同じで、「黄金の中盤」の四人はあくまでも「攻撃的MF」としての能力値は高いが、「守備的MF」としては不安が残る、というものだ。その意味で中田浩二、福西、または戸田などを中盤に入れるべきだ、と推薦する選手に違いはあるものの、四人枠の見直しをそれとなく(さすがに正面切っては言えないらしい)匂わせている。しかし、これも今後のジーコ戦術と代表の成績次第だろう。くどいようだが私は中田浩二と福西のボランチコンビのバランスに勝るものはないと思っているので、あくまでも4バックを守るのなら4-5-1のシステムを推す。
サイドバックに関する考察」。
ある意味、現在のジーコジャパンで「黄金の中盤」以上に磐石なのが両サイドバックである。右の名良橋、左の服部という布陣は、ジーコジャパンになってから他の選択肢は選ばれていない。右サイドバックに関してはレッズの山田が代表に呼ばれてはいるものの、出場したのはジーコの代わりに山本監督が代行した一戦での途中出場があるのみ。ジーコの求めるサイドバック像に合致する選手は他に居ないのか?。また、山田をはじめとするサイドバックの選手達が二人の牙城を崩すにはどうすればいいのか。ジーコジャパンの、文字通り両翼を担うポジションだけに、「黄金の中盤」以上に注目すべきポジションかもしれない。
先日のウルグアイ戦で約一年振りに代表のゴールを守った川口能活のルポ。彼なりに葛藤の多い一年だったとは思うが、どうやら漸く彼本来の「闘争本能」に火がついたようだ。まだまだ燃え尽きるには早すぎる。頑張って欲しい。それだけだ。
と、思うのは前園真聖の記事を読んだせいもある。現在韓国のKリーグで戦っている彼ほど堕ちる苦しみを味わった選手はいないかもしれない。同情すべき点も多いのだが、少なくともこの記事を読む限りでは根本的な部分での変貌はないように感じた。キツイ言い方をすれば「己が見えていない」ような気がするのである。このままもKリーグでも活躍できなかったとしたら(現在はそれなりに活躍しているようだが)、彼のサッカー人生は果たして…。それでも一瞬でも輝いた時期のあった選手は幸福なのかもしれない。
今号から始まった「Dear KAZU」。ロビーことロベルト・バッジョから三浦知良への手紙が載っているのだが、このコーナーが何を伝えようとしているのかわからない。単にカズの交友関係の広さというか自慢なのか?。だとしたらあんまり読む気はしないなあ。
サッカー関連で他に面白かったのは、ウルグアイ戦で笛を吹いた韓国人審判の目から見た日本代表の記事。中村俊輔のことを知らなかったり、戦術に関しても選手のフィジカルや集中力に関しても、選手の一番近いところで感じたことを率直に述べてくれている。こういう記事はなかなか読めないので面白かった。
前号からジャイアンツの仁志による連載が始まっているのだが、これがまた彼の「守備哲学」としかいいようのない文章でなかなか興味深い。勝手に「平成の広岡達朗」と呼ぶことにする。ハッキリいって面白いのか面白くないのかすらわからない。他の野球選手がこの記事を読んでどう思うのか是非聞いてみたい。
最後に、加藤大二郎と、今藤幸治の二人の冥福を祈って終わりたいと思う。輝いた人たちが消え行くのはいつの時代でも悲しいことである。