『Number 579 日本代表総力特集2 Confederaions Cup』

shaka2003-06-26

コンフェデでの三試合を徹底レビュー。それと、欧州選手権EURO2004)予選の記事。まるっきりサッカー特集号。
ニュージーランド、フランス、コロンビアの三試合を戸塚啓がレポート。
後藤健生杉山茂樹田村修一西部謙司の四人がクロスレビューという構成。
しかし、なぜか記事の順番がコロンビア戦、フランス戦、ニュージーランド戦という順番。時系列に沿っていないので少々読み解き難い。
戸塚啓と四人のクロスレビューの殆どは同じ内容。曰く、ジーコの標榜するサッカーの形は見えてきたが、本当にこれでこの先乗り切って行けるのか?。そして、この大会を勝ち抜くことを考えるならばフランス戦で戦力を温存し、コロンビア戦は絶対に勝ち点を取りにいくべきではなかったのか、ということ。
決定力不足は今に始まったことではないので、それを含めて日本代表としてどうやって点を獲るのかがビジョンとして見えず、選手起用を含めてジーコには懐疑的。これには私も同感である。
フランス戦は確かにジーコジャパンになってから最高の試合ではあったが、それはジーコの監督としての手腕が最高であったわけではない。ただでさえ国際経験が少なくなってしまった現状で、あと2試合の経験を意地でも取りに行かなかったことが後々響いてこなければいいのだが。
さらにコンフェデ関連の記事では、宮本、遠藤の2選手のインタビュー。
宮本はなんといってもコロンビア戦での致命的なミス。しかし、やはり宮本らしいと思うのは、このミスを正直に受け止め言い訳するようなことはせず、冷静に出来たことと出来なかったことを分析している点。他の選手だったら「これがワールドカップ予選でなくてよかった」という台詞も言い訳に聞こえるが、彼が言うと真実味があるから不思議なものである。個人的には日本の新たなディフェンスラインは宮本中心で行くべきだと改めて感じたので、彼とコンビを組むのは誰なのか、それが気になる。
同じく遠藤のインタビュー。
守備的MFとしては及第点だったと思うが(宮本と同様、あのミスは致命的だったけど)、ガンバで見せるような攻めあがりが少なかったのは残念で、本人もそれは自覚していたようだ。まあ、初代表からあれよあれよで先発メンバーになって、前にいるのがヒデと俊輔じゃあ遠慮もするだろうけど。ボランチはおそらく日本代表で一番の激戦区。今後彼が生き残っていくなら他のボランチよりも武器になるものを持っていかねばならないだろう。稲本、小野は言うまでもなく中田浩二や福西、戸田と比較しても国際経験に不足している。それだけでもハンデになるのだから。
コンフェデにおける一番の活躍を見せた中村俊輔についての記事。
確かにこの大会での俊輔は光っていた。俊輔懐疑派の私としてもそれは認めざるを得ない。この記事では得点に貪欲になった彼を認めつつ、スルーパスが殆どでなかったことについて指摘されているが、今回の日本の戦い方がスルーパスを生み出すようなものでなかったことが一番の要因という気もする。トンデモに聞こえてしまうかもしれないが、私自身は中村俊輔をFWとして使うっていうのもアリでは?と思い始めている。なぜなら、ゴール前でのフェイント、ドリブルにかけて彼に勝る選手はいないからである。もしかするとシュートも。彼をFWで起用することは彼のパスセンスを殺してしまう、という意見もあるかもしれないが、パス出しても得点獲ってくれる人間がいないんだから意味ないじゃん、と言ってみる。案外行けると思うんだが、おそらく実現することはないだろう。
コンフェデでの三試合をアーセン・ベンゲルが総括している。
今の日本を、プラティニ、ティガナ、ジレスという中盤を要した80年代シャンパンサッカーのフランスと似ている、と指摘し、「美しかったが勝てなかった」ところまで似ている、とやや皮肉っている。とはいえ、大方の部分ではベンゲルもまた他のレビュアーと同じような意見だ。ただ、彼独自の視点というか考え方は、中田英寿をFWとして起用するという案と「素晴らしいストライカーが出てくるまで待てば良い」というもの。そんな選手が本当に出てくるんですか?という日本人記者の質問に「信じなければ実現しない」と言い切ってしまうベンゲルはさすがだ。というか、彼にとっては日本がどうなろうと他人事なんだろうけど。
さて、あとはEURO2004予選について。
予選終盤の強豪国の運命を担う各国の新戦力についての記事。
ギャラス(フランス)/カモラネージ(イタリア)/ルーニ一(イングランド)/シャビ・アロンソ(スペイン)/クラニ(ドイツ)/デコ(ポルトガル)ら。
イタリア、イングランド、スペインは予選グループでやや苦しんでいる。彼ら新戦力が祖国を救うことになるのか。イタリアはウェールズとの、イングランドはトルコとの、スペインはギリシャとの直接対決が鍵になるだろう。このメンバーの中での一押しは間違いなくシャビ・アロンソだ。
究極の2トップを求めて。
綺羅星のごとく輝く、オランダ代表のFW5人のうち、どの組み合わせが究極の2トップなのか?。
ファンバステンフリットクーマンという嘗てのオランダ代表のカリスマ三人による採点表。
5人とは当然、クライファートファンニステルローイ、ファンホーイドンク、ハッセルバインクマカーイである。クライファートが実績込みで一歩リード。次点はファンニステルローイという感じ。ちなみに私はファンニステルローイ、とマカーイのプレミアとリーガの得点王コンビによる2トップが最強だと思う。フランスといいオランダといい、FW余りすぎ。日本に一人くれ。
EURO2004予選で本命イタリアを抑えグループ9のトップに立ち、台風の目となっているウェールズ。その中心選手であり、私が敬愛するライアン・ギグスのインタビュー。
まあ、誰でも一度はツッコミたくなるものだが、「イングランド代表ではなく、ウェールズ代表になって後悔したことはないか?」という問いに、「後悔はしていないが、マンチェスターイングランド代表の選手を見ていて嫉妬したことはある」と素直に答えている。しかしまあ、多くのギグスファンは世界の晴れ舞台で、彼の快速ドリブルが縦横無尽に駆け回るところが見たい、というのが本音だ。イタリアには悪いがプレーオフに回ってもらってウェールズが予選突破して欲しいものである。キャリア的にもこれが最後のチャンスだからなあ。
サッカー関係のその他の記事では、最近成長著しいスイスとチェコに関する記事。
チェコの方ではJリーグファンには懐かしいハシェックのインタビューが載っています。サンフレッチェファンは是非。
その他の記事。
「Dear KAZU」は前号なかったから終わったかと思っていたら続いていた。この記事の意味が良くわかりません。
仁志の「プロフェッショナルの証明」。今回はあまり面白くなかったけど、やっぱ読ませるわ。仁志は引退後、是非ともスポーツライターになって欲しい。彼の書く記事が読みたい。
NBAファイナル。サンアントニオ・スパーズ優勝。提督ロビンソン引退後はダンカンのチームとしてスパースがどこまで行くのか。ファイナルの相手だったネッツのジェイソン・キッドがもしかしたらスパーズへ、ってこともあるようで、そうなればしばらくは黄金時代が続くだろう。カンファレンスファイナルでレイカーズとスパーズが毎年死闘を繰り広げる、なんてこともあるかも。
Number EYESで、「福田正博はなぜミスターレッズだったか」という考察がなされている。私の考察は既に書いたが、彼の愛され方というのは、実のところK-1アンディ・フグに似ているところがあると今更のように思う。日本人は煌びやかなスター街道だけを歩いてきたものより、挫折を味わいながら這い上がった者ほど愛する傾向があるように思う。