松下の電子書籍「ΣBook」、「書店でしか売らない」

http://japan.cnet.com/news/tech/story/0,2000047674,20060896,00.htm
このニュースそのものよりも、中で述べられている開発グループの人の言ってることが気になって仕方がない。

「開発側としては10万円くらいで売りたかった」

「週に4冊も本を買うような顧客は日本に1000万人いるかいないかだろう。そのうちほとんどの人は紙で読むだろうから、1割が電子書籍を利用すると考えても、最大100万台といったところではないか」

まず、「10万円で売りたい」という意見については「誰が買うの?」という感じ。10万もあったらPDFが余裕で買えるし、下手すりゃハンドヘルドPCだって買える。文字情報を読むためだけのマシンに10万払う人がいるか?。しかもコンテンツは別売りなんだし。ところでコンテンツはいくらくらいになるんだろう。そっちの方が気になる。
んで、「週に4冊も本を買う人間が1000万人いるかいないか」という発言。本気で言ってるのか?。ちょっと以下のデータを見てもらいたい。
http://adv.yomiuri.co.jp/ojo/02number/200210/10data.html
これは昨年10月の「ojo(オッホ)」という媒体で発表されたデータリポートである。これによると「三ヶ月間で購入する本の平均冊数は2冊」である。三ヶ月ですよ。1000万人といったら日本の人口の1割近く。読書対象年齢的に見れば1割といっても過言ではない。それだけの数の人が「週に4冊」も本を買う?。ありえない。週に4冊ってことは月に16冊以上。一年で192冊。自分の周りでそんなに本を買う人が何人います?。私の会社で一番本を買う人間はまず間違いなく私だけど、私でさえマンガを含めて年間300冊買うか買わないか。それも全てが新刊ではない。この1000万人という数字がいったいどこから来ているのか教えて欲しい。
雑誌(マンガ含む)を含めても「週に4冊」買う人っていったいどれだけいるんだろう。そして200円とか300円で買える雑誌をわざわざ電子書籍で読もうという人はどれだけいるんだろう。そもそも雑誌をコンテンツとして売ったって儲けがあるのか?。下手すりゃメディア代で足が出そう。
私は「本」という存在そのものが好きなので電子書籍で本を読むことにあまり興味はないが、それでも媒体としては興味もあるし、活字文化のために頑張ってもらいたいと思う。しかし、開発側の意図がここまでズレてるとそれも期待薄だと思う。