『Q&A』恩田陸(幻冬舎)(ISBN:4344006232)

郊外型大規模スーパーマーケットで起こった重大死傷事故。原因不明の謎の事故はなぜ起こったのか?。
全編が「質問と答えだけで物語が進行する」と帯にある。そしてその言葉どおりはじめは正体不明の質問者と被害者達のQ&Aが繰り返される。おぼろげながら見えてくる事件の概要。物語の「掴み」としては申し分ない。
しかし、しかしですな、これがもうドンドン失速していくんだ。途中からはQ&Aというよりも単なる会話文になっちゃうし、前の部分で提示、または暗示されたネタは放ったらかしだし。おまけに最終章での会話文がまたそれまでの会話から比べると突飛過ぎて最終的になにがしたかったんだが全然わかりませんでした。わからなかったからつまらない、というんではありませんが読者を引き回すだけで終わってしまうのは正直どうかと。第2コーナーまでは快調に飛ばしていたんだけど、そのままコース外に外れて失格、みたいな感じでした。あの最終章はいくらなんでもないと思う。
相変わらず読んでる間はドキドキするし、「どうなるんだろう」という期待感でいっぱいなんですが、ここまで裏切られると辛い。
「Q&A」というアイデアを思いついたはいいけど、活かしきれず無理矢理進めて行ったらわけわかんなくなっちゃった、という印象。やはり最近の恩田陸は何かがおかしい。この作品だってアイデアを時間かけて充分に練りに練っていけばもっと面白くなったと思うんだけどなあ。残念です。