帰宅する電車で私の後方に立っていた高校生が言った台詞。
「今日も元気に疲れたなあ」
わかるようなわからんような。
昨日の夏目房之介のサイト*1の件で思ったのは、こうした著者自らがbk1なりAmazonなどのブリーダーやアフェリエイトを利用することはとても意義のあることなんじゃないのか、ということ。以前から新古書店問題などで書いてきたが、「売れない」と嘆くだけの作家や出版社には同情する気もおきないし、また「作者に少しでも還元したい」と言うだけの読者に対してもどことなく偽善的な感じは禁じえない。
で、思うのはこうした作者自らの動きというのは、読者にとっては直接作者に対して還元ができる行為になるわけで、作者自身もまた「ポイント」という形ではあるが通常の印税だけではない「利益」が得られるわけである。しかもこの「ポイント」は書籍購入に使うためのものであるから*2、溜まったポイントで必然的に本が購入され、どこかの誰かに印税が入る。当然ネット書店も棚(本)が動くわけだから儲かるはず。出版社もしかり。このサイクルはかなりいいんではないだろうか。
ただ、唯一にして根本的な問題点はリアル書店の存在だ。こうしたサイクルが肥大化すればそれだけネット書店の利用率が上がり、リアル書店の売り上げはその分減ることになる。リアル書店が減るということは、「本」という物体自体に接する機会がそれだけ減ってしまうということであり、それは「読書」という習慣そのものに直結する可能性がある。まあ本好きにとって、書店で本を手に取って購入する、という行為をそう簡単にやめられるものではない(それも含めて読書なのだから)が、本好きになる前の段階の読者にとってはどうなんだろうな。難しい。
個人的には夏目氏の行為は賛同したい。作者自らが宣伝したりポイントをもらおうなんて、という人もいるかもしれないが、私は大賛成。売る努力をせずして「売れない」と嘆く輩よりもナンボも偉い。ただ間違って欲しくないのは、「本」というのは「売れる」「売れない」といったビジネス的な側面だけでは語られてはならないということだ。いい本が売れるとは限らないし、その逆もまた然り。だからこそ「売れる」「売れない」といったことに汲々としすぎるのもどうかと思うのでる。その辺りがどうもよく理解できない行動をとる作家も多いんだけどね(と毒を吐いて見る)。

*1:ブログという言葉はなぜかあまり使いたくないのだ

*2:Amazon楽天の場合は書籍以外も購入できるが