『消失』ナイロン100℃

作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ、出演:みのすけ大倉孝二犬山イヌコ三宅弘城松永玲子八嶋智人
ケラリーノ・サンドロヴィッチの芝居を見るのはおそらく10年以上ぶりだと思う。あの当時はやたらと不条理でエログロで笑いがシュールだったせいか正直好きではなく、すぐに見なくなってしまった。今回はチケットが余ってるってことだったので珍しく行ってみた。
あの当時はカルト的な人気だったナイロン100℃も、ここ数年ですっかりメジャーになっていて、それはつまりより多くの観客に受け入れられる芝居になったってことであり、不安は杞憂に終わった。しかも役者が皆達者な上に、ある主の定型が出来上がっているので観ている間は非常に楽しめた。役者は全て良かったが、特に三宅弘城は素晴らしい。
とはいえ、芝居としての全体像はどうなんだろう。3時間近い芝居で、途中スクリーンに字幕が出て、展開が説明される。そこまでするならもっと短くできたでしょう。長いですよ。おまけにかなり早い段階で展開が読めちゃうだけに「どうなるんだろう」という牽引力が薄いので余計に長く感じる。目の前で展開される芝居を見ている分には面白いんだけど。
ストーリーとしては多分に好みの問題があると思うんで、私の好みではなかった、とだけ。まあ普通はケラのああいう芝居が好きな人が観に行くわけで、私のような客は少数派だと思うし。最後の演出(仕掛け)は「おおっ」と思いました。
それにしても大倉孝二はデカイ!。周りの役者が小柄なだけに大きさが一層引き立つ。『ダブリンの鐘つきカビ人間』の時はここまでデカイとは思ってなかった。役柄としてはカビ人間同様こういう朴訥とした青年を演じる時が好きかな。八嶋智人はイヤーな感じの役をやるとホントに嫌な人間に見えて気分まで悪くさせるというところが凄い。
10年以上縁のなかった劇団だけど、これからはたまに観にいこうかな、とは思いました。