『サマータイムマシン・ブルース 2005』ヨーロッパ企画

http://www.europe-kikaku.com/
作・演出:上田誠、出演:石田剛太、酒井善史、清水智子、角田貴志、諏訪雅、土佐和成、中川晴樹、永野宗典、西村直子、本多力
二年前に『サマータイムマシン・ブルース2003』を観て以来(当時の感想)、すっかりヨーロッパ企画の虜になり(ふと気づけばそれ以来全公演観てるよ)、DVDも何度も見返したおかげで台詞も結構入ってる、というほどの芝居なのだが、それでもやっぱり生で観ると面白くて笑ってしまう。それでも周りに迷惑かけないように我慢して笑ってましたけど。
脚本はほぼ書き換えなく、細かいギャグが増えてた程度。メンバーも、瀬戸中基良、玉田晋平、松岡可奈子の代わりに角田貴志、土佐和成、西村直子が入ったものの、SF研の主要メンバーは変わってないため、予定通りの面白さを満喫できた。
DVDを見ることでもわかってたけど、ヨーロッパ企画の面白さというのは「日常のぬるい笑い」を舞台上で芝居として再現する、という部分が大きいだのが、これが不思議なことに何度観ても面白いのだ。これはもちろん上田誠が抽出する笑いの質が高いというのもあるとは思うのだが、だからこそ繰り返し観ても面白さは失われない。当然、初見の時のインパクトというのは失われてしまうが、逆にマンネリ化したことによる更なる面白さもある。わかってるからこその期待しちゃう部分の楽しみもあるし(「来るぞ来るぞ」的な)。
そんなわけで相変わらず笑いっぱなしの2時間でございましたことよ。個人的には久々に酒井さんの出番が多い芝居を観れたのが嬉しい。何度観ても「お前のその賢さが鼻につく!」は最高です(厳密には諏訪の芝居だが酒井さんあってこその面白さである)。一番初めに見たヨーロッパ企画の芝居ということもありますが、この芝居のキャラがイコール、役者たちのキャラに結びついてる部分も多いので、それがまた面白さを助長します。この芝居でも中川晴樹はすっとぼけてるし(この人のすっとぼけ芝居はホントに最高だと思う)、永野は下等生物扱いだし、諏訪は一人上手だし、石田剛太は適当もいいとこだし、それら全てが最高だ。
来週から公開される映画も楽しみで楽しみで仕方ないんですが、やっぱりヨーロッパのメンバーで見るのが一番なんだろうな、とも思ってしまう。永野の本田は出てますがね。それでも笑いだけでなく作りこまれた脚本も含めてヨーロッパの面白さとエッセンスは味わえると思うんで、是非ご覧ください(なぜ私が宣伝を)。
でもひとつだけ哀しいのは、こうしてヨーロッパ企画が有名になっていって小劇場を離れたり、チケットが獲り難くなったりすることだなあ。これは小さな劇団が大きくなっていく上でどうしようもないことなんだが。何度もそういうことを経験しているが寂しさは変わらないのであった。無理だとはわかっていても、ずっと駅前劇場クラスで見続けたいと思ってしまうよ。