世界柔道 2005 一日目

アテネオリンピックの金メダリスト2人(鈴木、塚田)。そして前回の世界柔道の金メダリスト1人(棟田)。日本柔道の初日の布陣としては文句なし。阿武のいなくなった女子78キロ級は不安が残るが、逆に混戦は楽しめるかも(結果的に中澤の試合以外は放送されなかったから混戦したかかどうかもわからなかったが)。
ホントに哀しいことに柔道ファンにとっては日本人選手の試合以外はわからないので、そこだけの感想になってしまう。
まず鈴木桂治だが、井上康生野村忠宏が出場していない大会では、もっとも磐石な選手である。まったく心配はしていなかったのだが、今日は思った様な柔道ができていなかった。それで優勝しちゃうんだから凄いが。やはりそれだけ100キロ級に対する思いが深かったということなのだろう。緒戦から体のキレは今一つで、鈴木得意の足技ももうひとつ奥まで踏み込めない。「負けてはいけない」というプレッシャーは相当なものだったようだ。まあ鈴木が戦っていたのは対戦相手よりも井上康生という存在だったような気もするのだが。結果的には対戦相手にも恵まれて、優勝。それにしても、ひどいことにフジテレビは公式ホームページでもトーナメントの結果を発表していない。これでは誰がどう勝ったのかまったくわかりませんよ。ヴァンデギーストもチャン・スンホの結果もわからない。もうなんとも言い様がない。さて、今後は鈴木桂治井上康生の対決がどうなるのか、それが気になる。二人とも100キロ級で闘い続けるのか。真の世界一決定戦はこれからだ。
100キロ超級の棟田だが、決勝の相手がミハイリンというのがなんといっても悪かった。これまで勝ったことのない相手であり、組手の相性も悪いんだよなあ。しかもミハイリンは外国人選手としては珍しくしっかり立ってしっかり組んで戦う正当はタイプ。それでいて大型選手らしく裏投げ、すくい投げという大技の切れ味もある。鈴木桂治の場合は、足の長い(重心の高い)ミハイリンに対して足技が面白いように決まるんだけど、棟田の場合は身長差もあってそれが効かない。結果、無理な体勢で投げにいってそこを見事なすくい投げで返された。しかしミハイリンのすくい投げは凄いな。棟田も準々決勝では一本背負いの際に相手の足を左手ですくうなど見事な技を見せた。それでも今日はミハイリンの方が強かった。相性だけみれば順当。
女子78キロ級の塚田真希は残念だったが仕方がない。やはりこの階級での中国の壁は厚い。アテネでは孫福明が思わぬ不覚をとったが、実力的には世界一。今回は孫ではなく若手が出てきたが、それでもやはり強かった。塚田はテンパると足が出なくなる、という悪い癖を持っている。それが見事に出てしまった。それでも三位決定戦はしっかりと勝った。これは塚田の成長だと思う。世界で勝つにはやはり足技での崩し、それが重要。そこを磨いて次回に向けて頑張って欲しい。
78キロ級の中澤(楢崎正剛似)は、なんといっても世界柔道四連覇という女王・阿武の後を継いでの出場となったわけだからよっぽどプレッシャーがかかってるかな、と思ったんだけどそんなことは全然ありませんでしたね。もう、若さという武器で開き直ってガンガン攻める。韓国の選手の様な柔道でした。結果的にはそれが幸いして決勝まで上り詰めた。決勝ではさすがにその荒さが裏目に出たけど(あそこで足を揃えてしまうとは)、いい経験になったでしょう。パワーと勢いで攻める柔道だけど、今後はそれだけでは通用しない。組手で先手を取るタイプの選手だから受けが強くなったら面白いなあ、と思いました。
はあ、それにしてもホント、日本人選手以外の試合が見れないのは寂しい。さて、今日はなといっても上野雅恵、谷本歩美という女子の二人に注目だ。共にアテネオリンピック金メダリスト。技の冴えは女子でも一番の上野と、古賀柔道の後継者・谷本。きっと二人ともいい柔道を見せてくれるでしょう。男子の二人はちょっと厳しい闘いになると思われます。泉はアテネでの雪辱を果たして欲しい。81キロ級はイリアディスが頭一つ抜けてる気がする。この階級はホントになかなか後継者が出ない。それだけに小野はチャンス。さて、どうなるか。