『ボーン・スプレマシー』(2004 アメリカ)(ASIN:)

監督:ポール・グリーングラス、出演:マット・デイモンフランカ・ポテンテジョーン・アレンブライアン・コックスジュリア・スタイルズ
前作『ボーン・アイデンティティー』の続編。原作はロバート・ラドラムの『寒い国から帰ってきたスパイ』。この様子だと、もう一回は続編が作られるな。
記憶を失った特殊工作員であるジェイソン・ボーンが、所属していたCIAから抹殺されそうになり、体に染み付いた戦闘技術と偶然知り合ったマリーの助けを借りて組織と対決。前作ではCIAの鼻をへし折って「俺を追ってきたら殺す」と警告。マリーと二人平穏な生活を手に入れるところまでが描かれた。
今回はその続きからで、マリーとの生活は平穏なはずだったが、ボーンは毎晩のように夢にうなされる。それは初めての任務との時の記憶。この記憶は事実なのか?
一方ベルリンではCIAのエージェントが殺されるという事件が起こる。犯行現場に残された指紋は犯人がボーンであることを指し示す。そして同時にボーンの元へ謎の暗殺者が姿を現す。
いやまあ、いまどき珍しい正統なアクション映画なんで特に語ることはない。自分を取り戻すために戦った男が、手に入れたはずの平穏を打ち砕かれ、復讐と自分の記憶を取り戻すために再度立ち上がる。ストーリーは単純にこれだけで、あとはアクション。
前作同様カーチェイスと格闘がメイン。この映画のよさはCGとか使わずに、かといってトニー・ジャーほど無茶なこともせずに、派手ではないが説得力のあるアクションをひたすら見せてくれるところ。今回もそれは十分堪能できた。特にアクションというよりは逃亡シーンはかなり緊迫感あり。
ただし、格闘マニアとしては前作よりも格闘シーンが減っているので残念。カーチェイスは都合三回もあるのに、まともな格闘シーンは今回一度だけ。プロ同士の格闘もいいんだけど、もう少しスカッとするシーンがほしかった。逆にカーチェイスは派手ではあったが少々飽きたかも。もし次作があるなら、アクションシーンに新機軸を入れてくれないと物足りないかな。
ストーリーとしては、今回は完全に単独行動での復讐というか相手を追い詰める話なので、ラブロマンスもないし、ボーンが追われつつも追う側にも回るという駆け引きが楽しめたところ。ラストで、自分の正体に繋がる情報が出てきたので、次はきっとこれがテーマなんだろう。
アクション映画でありながらいまどきの映画としては非常に地味。ただ、派手なCGや爆薬シーンに食傷気味な人には面白いというニッチな作品。個人的にはこういう丁寧なつくりのアクション映画は好きなので多分次作も(あるのなら)見ると思う。DVDでだけど。ショーン・コネリー時代の007のアクションが好きな人なら、少なくとも007よりはアクションの質は高いので楽しめると思います。