『このマンガがすごい!2006 オンナ版』(ISBN:4796650199)

というわけで、今度はオンナ版のレビューを。構成はほぼオトコ版と同じ。一応、イケメン紹介とかもあるけど。メインライターもオトコ版と同じですね。インタビューは羽海野チカ桃森ミヨシ一条ゆかり
で、早速ランキングですが、このベスト3はもう動かしようがない、という感じ。どれが1位かには異論は出そうですが、話題性、売り上げ、面白さという点ではこの三作品が今は一番でしょう。といいつつもマンガ単体で見るならば3位の作品はやや翳りがみえてきたと個人的には考えています。というかだいぶ前から読んでない。
で、4位にビックリ、萩尾望都ですよ。そして9位はなんと山岸涼子ですよ。こう書けばタイトルわかっちゃうでしょうが、一応伏せておく。もうひとりベスト10中にはベテランがいますが、この人は息が長くコンスタントに活躍してるから意外というほどでもない。ただ、このベテラン三人がここまで揃って上位に食い込むとは。萩尾作品は完結したので読みたいとは思いつつまだ読んでません。山岸の方は連載誌が連載誌ということもありますが、あまりにも絵柄が崩れすぎてて見るに耐えない。それでもこの順位はすごいと思います。
もうひとつ特筆すべきは「オトコ版」で『働きマン』が4位にはいった安野モヨコ。なんとベスト20のうちに2作品が入ってる。オトコ版、オンナ版で同時ランクインは、この安野モヨコともうひとり、よしながふみだけ。そしてこのよしながふみは、今年刊行されたマンガ全てがベスト20入り。相当票も割れただろうに。ちなみに作者別投票では1位と一票差の2位でした。
そういう意味ではなかなかバラエティにとんだランキングになっておりますが、やはりこのオンナ版でもオトコ版同様、「オトナの女」向けランキングになっていると思いますね。『りぼん』、『マーガレット』、『ちゃお』といった雑誌からのランクインはなし(『なかよし』からは一作だけ入ってる)。まあ『花より男子』とかがまだ連載してれば別でしょうけど。イメージ的には『ハツカレ』辺りが入っててもよさそうなもんなのに、と思いました(座談会でも触れられてるけど)。やはりこの年齢になると、いわゆる「少女マンガ」に対する鼻が効かなくなるし、情報も少ないので、できれば大人が読んで耐えうる少女マンガの情報とかは欲しかった。個人的には『まっすぐにいこう』とかはもっと読まれて欲しい作品であるし、こういう作品は他にもっとないのか、という気もする。
あ、そうそう、これはオトコ版でもオンナ版でも同じですが、出版社だけでなく、掲載紙も表記して欲しかった。そうするとより、現在のマンガ動向が見えたと思う。これは来年是非改善して欲しい点。
で、なにが驚いたかって、ベスト10の中に「花とゆめコミックス」が一冊も入ってないってことですよ。白泉社のマンガは一冊入ってますけど。ベスト20まで広げても「花ゆめ」コミックスで入ってるのは2作品だけ。それも大河少女マンガである『ガラスの仮面』と、これも11年の連載にやっと終止符が打たれた『輝夜姫』です。正直『ガラスの仮面』を今ランキングに入れるのはよくわからない。うーん、最近は『花ゆめ』も『LaLa』も読んでないけど、今はそんなにパワーないのか?。かつての黄金時代を知っている者としては寂しい限りです。
白泉社が不調とはいえ、結果としてはやはり一ツ橋系が強いというイメージ。音羽系が頑張ってるのは単発で、雑誌単位で考えたらやっぱり苦戦してるんだろうなあ。
あとはやはり『ネムキ』関連が上位に来ないのが残念。『百鬼夜行抄』も『雨柳堂夢咄』も相当クオリティ高いですけどね。まあ、この辺も「瞬間最大風速」は高くないか。もはや安定株の域だしなあ。
選者に関しては、オンナ版は45人で、一部(半分くらい?)がオトコ版と重なっていますが、あとは女性陣がやはり増えてる。BSマンガ夜話組からは笹峯あいが唯一選ばれたってことですね。芸能人でオトコ版、オンナ版両方に投票しているのが大川興業大川豊谷原章介というのが微妙。というか谷原章介はそういうキャラだったの?。まったく知らなかったよ。
選者の関係もあるでしょうが、さすがにBL系やレディコミ系は目立ってませんね(投票している人はいるけど)。
まあ、総じて少女マンガ、というか女性向けマンガに関しては私自身が情報不足しているので色々と勉強にはなった。っていうかおかざき真里が新刊出してたことに気づいてなった自分のチェック不足に腹が立つ。買ってこよう。
まあ、課題はオトコ版と同様ですね。長期連載もの、安定ものの扱いと、対象年齢が低い雑誌からのランクインがないこと。このムックを読むのが成人以上だとしても、もう少しその辺のフォローが効いていたら嬉しかった。