『ヨーロッパ企画な昼』

正式名は『お笑い作家・倉本美津留プレゼンツ“ヨーロッパ企画な昼”〜映画「サマータイムマシン・ブルース」DVD発売記念&ヨーロッパ企画第20回公演「Windows5000」前夜祭〜』らしい。長い。
サマータイムマシン・ブルース2003』を見て以来すっかりはまっているヨーロッパ企画のイベントということで喜び勇んで行ってみた(実際はやや冷静)。開場前に着いたら待ち合わせのメンバーよりも先に携帯で電話をしている土佐和成を発見してしまったのが驚きだった。
ロフトプラスワンの雰囲気にやや圧倒されつつ、開始と共に壇上に倉本美津留ヨーロッパ企画の諏訪雅、石田剛太、上田誠(上手から順)が並ぶ。挨拶代わりに自己紹介的な流れと倉本とヨーロッパの出会いが紹介され、そのままのゆるーい幹事でトークが続き、途中途中でヨーロッパ関係の映像が流されるというスライドショー形式。
映像の中ではやはりヨーロッパ企画の本拠地(アジト?)である「ヨーロッパハウス」の映像が印象深かった。なにあのパソコンの多さは。「お前ははてなか!」とツッコミたくなった。「今流行りのフリーオフィスです」とか言ってるし。でもやっぱ「人が集まるところ」というのは大切だよなあ、と感じた。これがあるとないでは全然違う。ヨーロッパ企画を見ていると「面白い」という気分と同時に毎回「強烈な憧れ」を感じてしまい、嫉妬とも諦観ともつかぬ想いに駆られて心が苦しくなる。彼らが本当に羨ましい。
あとは過去の作品のダイジェストとかSSMFの作品とか見て過ごす。基本的にホスト(トスポではない)は倉本美津留なので、倉本が話を振ってヨーロッパがそれに答えるというスタイルが続いた。
ヨーロッパのファンとして、個人的にはいつもの舞台上の「ゆるさ」がこのイベントでも体感でき、劇場とは異なる空間で一体化できることを期待していたので、ややプレゼン的な手法に偏ってしまったことは残念だったが、それでも楽しむことはできた。
ただ、倉本美津留の語りにはやや辟易する部分もあった。彼がダウンタウンと共に築いてきた実績は知っていたし、そこはそれ認めてもいたが、初っ端から「俺らは凄い」と語られて、ヨーロッパに対しても常に「俺が目を付けてやったから」オーラが全開なのはちょっと引く。笑い飯まで引き合いに出されても。あまりにもダウンタウンを絶対視しすぎているのもどうなのか。彼らは確かに凄いけど、それ以外は全てクソ、というのは狭窄に過ぎやしないか。というか先日の「演劇の排他性」にも通じる部分が透けて見えてしまい、嘆息してしまった。まあ、こういう牽引者にはありがちな態度で、そういう部分がなければ引っ張れないのも事実だけど。ヨーロッパを横にしてそれをされるとファンとしては忸怩たる思いがあったというのが正直な気持ち。
まあでもそれはそれとして概ね満足な4時間で、ヨーロッパ企画に対する愛憎半ばな気持ちはますます強くなり胸が苦しくなるが(大袈裟)、帰りに新しく発売された『12人の追い抜けないアキレス』のDVDを購入し、1ミリリットルの勇気を振り絞って皆さんのサインをねだったら応じてもらえたので感無量。アキレスのDVDだったせいか、出演していない女優三人組(松田暢子、山脇唯、西村直子)はサインを避けたいたみたいだったのですが、残り僅かな勇気を振り絞ってサインをねだったらしていただけたのでこれまた感無量。特に山脇さんは「私は本編には出てませんが、(おまけ映像の)これとこれに出てます!」と主張してくれたのがウケた。
あ、アキレスのDVDは私がラストの一枚を購入したんですが、その際に「あ、私はいいですよ」と譲って下さった方、本当にありがとうございました。
同じくサインを貰ったよしさん(id:yoshihisa)と共にほくほくの気分で会場を出たら散々待たせられた他の面子に白い目で見られた。でも平気。よしさんと二人ニヤニヤしてました。
いやー、でもヨーロッパ企画がどんどん有名になって、それこそ最近ではテレビでも姿を見るようになってしまって遠い存在になりつつあるのが残念。自分が贔屓の劇団が有名になってチケットが獲りにくくなって、終演後にロビーにでも出てこれなくなって、というのはファンとしては喜ばねばいけないのだが、残念な気持ちもある。でも活躍している姿を見れるのはやはり嬉しいね。なんてことを思いつつ、その夜『安楽椅子探偵 ON AIR』を見ましたとさ。あ、やはり土佐は劇団打ち上げの際にコング桑田の横にいました。間違いない。