『上方スピリッツ』スクエア

作:森澤匡晴/演出:上田一軒、出演:上田一軒/森澤匡晴/北村守/奈須崇
「関西系のベタな笑いが好きならスクエアが面白いですよ」という情報を得て、スクエアを観てきました。
まさしく「関西のベタな笑い」まんまでした。特に今回は、「上方スピリッツ」という漫才コンビとそのマネージャー、そして構成作家という全員が何らかの形で「笑い」を生業としている人達の話だったので、「日常の笑い」と「作られた笑い」が一挙に楽しめた。もう100分間笑いっぱなし。
ストーリーというよりも、楽屋を舞台にしたシチュエーションコメディに近い設定なんだけど、そこで展開されるドタバタがありえないながらも巧く計算されていて、その飛び具合がメチャメチャ面白かった。基本的にはひとりの「かき回し役」がいるんだけど、本人にあまりその自覚がないのが余計に事態を混乱させるという典型的なパターン。
「笑い」を本業とする漫才コンビが実は裏では結構普通で、マネージャーと構成作家が日常ではおかしい、というのも見せ方としてはありきたりなんだけどここまでしっかりキャラ設定されると素直に楽しめる。とにかく役者一人一人の技術の高さ、特に森澤匡晴のテンパり演技は最高に面白かった。
ヨーロッパ企画とかでもそうなんだけど、「日常の笑い」で、それも「芝居染みた日常の笑い」というのを舞台で再現するのはかなり難しい。それをしっかりと見せつつ、さらに「作られた笑い」へと転化する、というのが今回は面白かったなあ。しかも間に「作ろうとして失敗した笑い」までが入ってるから(しかもこの「失敗感」が一番面白かった)感心しつつ笑うしかない。
こういう笑いの作り方をしたらやはり関西は強い。以前、大人計画の『春子ブックセンター』を見た時に感じた違和感は今回は殆ど感じられなかった。まあ、「上方スピリッツ」の漫才自体は私好みではない「キャラ系漫才」だったのが残念といえば残念ではあるが、そこまで求めるのは贅沢というものだろう。次の東京公演は来年とのことだが、また是非行きたいと思う。