ワールドカップほど最高のものはこの世にはない。

心の底からそう思えるほど楽しい体験だった。こんなことを書いても、「これだからサッカーバカは」と思われてしまうのがオチかもしれないが、今回ほど「サッカーバカ」でよかったと思うことはなかった。ただ、こういう気持ちになれたのは決してサッカーだけのおかげではない。確かにドイツにいる間はサッカー漬けの日々であった。しかし、それを彩ってくれたのはドイツという国の風土であり、世界中から集まった多くのサポーターたちであり、「スポーツとして、ゲームとしてのサッカー」とは別の多くのものたちだった。
これがドイツにおけるワールドカップというのも大きかった。おそらくこれを上回る、もしくは同等のワールドカップの喜びを体現できるのはブラジルくらいではなかろうか。そういう意味でも一大決心してドイツに行った甲斐があったというものだ。本当に心の底から声を大にして言いたい。ワールドカップ最高!ドイツ最高!。
最終的には自己満足以外の何物でもないのだが、少しでもこの喜びを、そしてワールドカップ、サッカーというだけで眉をひそめてしまう人の誤解を解くために、しばらくは旅行記のようなものを書き残しておきたいと思う。
日本という国と、日本人はまだまだサッカーを、そしてワールドカップを知らない。4年前の開催はあまりにも早過ぎた。我々はワールドカップの本当の素晴らしさを半分も知らなかった。もし、私が生きている間にもう一度でも日本で開催することがあるのなら、次こそは是非、ワールドカップを心底楽しみたい。世界中の多くのサポーターから「日本でのワールドカップは最高だった」と言ってもらいたい。
ここに書き記されるのは一人のサッカーバカの「たった一週間」のドイツワールドカップの思い出ではあるが、一人でも多くの人にワールドカップの、この世界最大の祭典がもたらす喜びと愉悦が伝わることを願っている。
ドイツよ、そしてドイツの人たちよ、そして多くの、本当に多くの出会った人たちよ、最高の思い出をありがとう。なぜ今、自分が日本にいてブラウン管(我が家はまだプラズマでも液晶でもない)を通してしかワールドカップを楽しめないのか、正直理解できない。一分一秒たりとも、一瞬たりとも日本に帰ってきたいとは思っていなかったのに。それが唯一にして最大の心残りである。