『作家と遊ぼう!ミステリーカレッジ』レポ

んでもって日曜はミステリーカレッジ。ホントは朝一から行くつもりはなかったんだけど諸事情により、オープニングから参加することに。眠い。
雨の中を立教大学(来たのは受験以来だから18年ぶり、当然落ちた)まで歩き、到着したのでちょっと喫煙所で一服しようかと思って目をやったら、そこにはなんと北方謙三宮部みゆき京極夏彦の姿が。とてもじゃないが近寄れない。オーラが、オーラが。仕方なくすごすごと立ち去ろうとしたら目の前から大沢在昌が歩いてくる。大極宮包囲網である。後ろから「ソープ行け」という声が聞こえてきそうである。そんな感じで受付へ。
まだ会場まで15分ほどある、という時間帯にも関わらずなんと受付には長蛇の列。マジで?ミステリってこんなに人気あったの?っつーくらい長蛇の列。雨の中、日曜の朝一にこの勢い。ビックリしました。
これまた諸事情により一般受付ではなかったので、私自身は受付はあっという間に完了。列に並ぶ方々から知り合いを探そうと歩いていたら、MYSCON参加者のお知り合いを何人か見つける。とはいえ、ミステリイベントなのにMYSCONとはあまりにも客層が違う。並んでいる人の多くが女性。それも結構若い。誰かのコンサートといっても信じてもらえそうな列だった。
そんなこんなで知り合いに挨拶していたら某Aグレさん(伏字意味なし)を発見。ご挨拶しに近寄ったら雨が強くなってきて、二人で屋根のあるところまで移動したらそこがオープニング会場だったので、そのまま二人並んで席に座る。一応知り合い関係の席もとっておこうと思ったら、何人かはそのままサイン会の整理券をゲットにしに向かったらしく、後合流した某カリスマ探偵と三人でオープニング。
これがまた500人以上入る会場だというのに立ち見まで出る満席状態。この熱気はいったいなんなのだ。MYSCONでは味わったことのない熱気ムンムン度。某Aグレさんからは「MYSCONのぬるい空気とはちがうのぉ」と言われてしまった。いやでもホント、まさかミステリのイベントでこんな熱気に当てられるとは想像だにしなかった。
オープニングは司会の今野敏の挨拶と、大沢理事長の言葉、そして参加作家が壇上に並んで、逢坂剛実行委員長の言葉で参加者および作家達が一斉に散らばった。企画がそれぞれ同時並行で行なわれているので、皆散り散りになるのだ。
自分はどれに参加しようかと悩む。ミステリ検定は受けたいんだけど、これに参加すると、本日最大の目的であるトークイベント「乱歩賞作家のからさわぎ」と時間がぶつかってしまうのである。仕方なくミステリ検定は諦め、この人数と熱気に恐れをなし、さっさとトークイベント会場に移動して並ぶことにする。思ったとおり一時間以上あるのに既に列ができ始めていた。
そんなこんなで開場して入室。席を取った後、改めて一服しに行ったら、今度は竹本健治福井晴敏がいる。ちょっと向こうには道尾秀介が。おそらくこの日最も作家遭遇率が高かったのはこの喫煙所だったと思われます。
落ち着いて会場に戻っていよいよトークイベント「乱歩賞作家のからさわぎ」が始まった。いよいよ作家の登場、というシーンでいきなりの大興奮。なんと東野圭吾が白衣着てめがねかけて登場。大学の教室、そして今現在の月9ドラマを考えれば確かにそれはアリ、というかむしろそれしかない。しかも口上が「この白衣は昨日女性に買ってきてもらいました。メガネは、「そのメガネいいなあ、そのメガネいいなあ、そのメガネいいなあ」と3回フジテレビに言いましたがくれなかったのでYahoo!で買いました」ときたもんだ。ツカミはオッケーにもほどがある。
この日の東野圭吾はやる気満々ですよ。関西人の笑いの血が煮えたぎっているようでした。ここで東野圭吾よりトークイベントの内容紹介。
江戸川乱歩賞というのは本来とても権威ある賞なのです。しかし、最近の若手乱歩賞作家はまったくもって威厳もないダメなやつばかり。つまりは劣等生。今日は乱歩賞作家の先輩である私・東野圭吾が乱歩賞の作家としてのあり方を劣等生どもに教えてやるという内容となっています。大変お見苦しいやつらばかりですがお許しいただきたい。それでは劣等生入場!」
という言葉で現れたのは、福井晴敏高野和明薬丸岳の三人。座っていきなり福井晴敏がひとこと。「オレらだけパイプ椅子ってのが納得いかないんですけど」。そう、東野圭吾が籐椅子にクッションなのに対し、三人はただのパイプ椅子なのだった。それに対し東野圭吾は、
「何言ってんだよ。本来ならばお前らにはパイプ椅子でももったいない。ホントは地べたに座布団引いて正座のはずだったんだけど、可哀相だから椅子用意してやったんだ。ありがたく思え」と切り返す。以後終始、こういう展開。もう、はじめっから爆笑。作家のトークイベントでここまで笑えるとは思っていませんでした。
あまりの面白さに全編メモりました。しかしさすがにここでメモを全文記述する気にはなれん。そんな暇もないので、とにかく笑えたということだけ書いておきます。機会があればアップするかも。あと、誰よりも悲惨だったのは劣等生の三人ではなく、飛び入りした真保裕一だった、ということも書いておかねばなるまい。楽しいにもほどがある一時間半でした。
正直な話これだけでもうお腹いっぱいだったのですが、折角だから他の企画も当然覗いておきたい。しかし、ここで誤算があり、昼飯食いに出たらどれもこれも時間が合わなくなってしまったのである。仕方なく皆と合流して、フィナーレが行われるメイン会場に一足先に行くことにする。
そしたらまだオークションが途中であった。このオークション、事前にチェックしていたのだが、高値が予想されたため、今日は初めからお金を持たないようにしていた(持っていたら勢いで買ってしまいそうだった)。しかし、『こち亀アンソロジー』が13万円で落札された後、大沢在昌の『新宿鮫』の短編直筆生原稿が11万円で落札されたのを見たとき、「勝負するべきだった」と後悔した。『新宿鮫』生原稿にだったら12万は惜しくはなかった。激しく後悔。周囲には諭されましたが。
さて、フィナーレ前の最後のイベント、クイズ大会。各作家の作品に関する問題が三択で出題され、会場の参加者達はグーチョキパーで回答。間違ったものは座っていき、後に残った人の中から優勝が決まる、というパターン。都合三回あって、一回目は某カリスマ探偵が後一歩、残り二回は私が後二歩くらいまで残ったのだが、残念ながら商品はもらえませんでした。平山夢明が全員刈り取った時は笑った。
そしていよいよフィナーレ。その際に、午前に行われたミステリ検定の結果が発表され、優勝者の名前を聞いた途端(というか点数が発表された途端)一部の人間達大爆笑。やっちゃった、やっちゃったよ。当人は既に会場を後にしていたので、代理人が賞状を受け取ったわけですが、笑いをこらえることができませんでした。
そして再び大沢理事長と逢坂実行委員長の言葉があり、参加作家が壇上に並んで派手にクラッカー鳴らして閉幕。
まともに参加できた企画はひとつだけでしたが、会場にいただけでも充分楽しめたし、なにより作家とファンの熱気に当てられ、自らも少なからずテンション高くなりました。手放しで楽しい、とはいえませんが、ミステリ界がこれだけのパワーを持っているということを肌で感じただけでも大いに価値はあった。
このままの熱気を保ったまま、ミスカレに参加していたMYSCONスタッフ達と某所に移動し、次回のMYSCON9について打合せを行った。おかげでみなのモチベーションも高まっていて、打ち合わせも濃い、そして身のある内容になりました。こちらも近日中にはお知らせいたします。
とまあ、ミステリイベントの可能性を感じさせてくれたミステリーカレッジ。理事長、実行委員の先生方、そしてイベントに参加した先生方、大変楽しい時間をありがとうございました。我々も頑張らねば。