『マッハ!!!!!!!!』(2004 タイ)[movie]

監督:プラッチャヤー・ピンゲーオ、出演:トニー・ジャー、ペットターイ・ウォンカムラオ、プマワーリー・ヨートガモン
アクション映画見て「こえー」と思ったのは初めての経験かもしれん。それくらい凄かった。何が凄いってトニー・ジャーのアクションが凄いんだけど、それ以上にかれにやられるスタントマン達が凄い。あんな肘とかヒザにどうやって耐えてるんだ。少なくとも7人くらいは死んでると思う。タイではそれもアリなんでしょうか。
もう全てのアクションが凄いんですけど、凄いアクションが多すぎてどれが凄いとか言えないし、前半に出てきたアクションが軽く感じはじめてしまう後半が白眉。っていうかクライマックスでのダブルニーは絶対死んでると思う。NASAが開発した衝撃吸収素材使っても死ねそう。監督イカレてます。
アクション映画では肘とかヒザは本来御法度に近い。なぜならどれだけ手加減しても痛いし、怪我するから。ブルース・リーでもジャッキー・チェンでも、ヴァンダムでもセガールでもまともに肘とヒザを入れてる映画はあまりない。っていうか基本的にホントに殴ったり蹴ったりしてるのもあまりない。ヒザが入っているように見えても、敵役が微妙にジャンプして見せたり、パンチにしてもそう。それこそがアクション技術としての技だったりするわけだし。だからこそ、ジャッキーの『スパルタンX』で、ベニー・ユキーデとの死闘のシーンでラストの一撃がまともに入っているのを見て感動したわけだ。
もちろん、この映画でも手加減は当然してますよ。それでも普通の人、いや鍛えられた人でも相当数死ねる感じです。キックやパンチは衝撃吸収できても肘とヒザはねえ。ムエタイが武器なわけだから仕方ないけど、まさかこんな恐ろしいアクション映画を作る人がいるとは、そしてそれを演じる人達が実際にいるとは思いませんでした。ハリウッドでは絶対に作れない。スタント組合から苦情きますよ。っていうかホントに人死んでないのか?。
映画的にはアクションのためだけにあるストーリーで、村の宝である仏像を取り戻す、それだけ。まあ、仏像といっても信心深いタイですから、命に代えても取り戻すだけの価値があるというモチベーションにはなるわけですが。トニー・ジャーはひたすらアクションで、台詞も殆どなし。演技らしい演技もしてるようには見えない。それでもこの映画が映画として見れるのはジョージ役のペットターイ・ウォンカムラオに拠る所が大きい。彼がストーリーと笑い部門担当。アクションばかりでなく、彼による笑いと進行があってこそ、緩急つけた映画としての面白さ、アクションだけで飽きるような映画にはなっていないと思いました。
ちなみに新宿のシネマスクエアとうきゅうは満席立見。これにもビックリですが、見ておいて損はないと思います。っていうかアクション映画5年分くらいまとめて観た気になれると思います。これ見たらしばらくはアクションは満腹、みたいな。つーかこれを超えるのは相当厳しいと思う。と同時に、トニー・ジャーはこれからどうなるんだろう。
一応、格闘技と体操の心得があるものとして、あり得ない動き満載なことにショックを受けたので、DVDが出たら購入して1アクション毎に解析してみたいと思います。有り得なさすぎるよ、ホントに。