巡り巡っての話。
マンガ(コミック)の実写化として最も成功したのは『スーパーマン』をおいて他にない、というのが私の個人的な感想なのではあるが、それが成長途上のまさしくヒーロー渇望期に出逢った映画だった、という最大の理由にあえて目を瞑るとして、なぜ最大の成功例なのかなどという愚にもつかないことをとろとろと考えていた。んでもって結局は「ヒーローにはヒーローに相応しいテーマ曲が必然である」という至極単純偏狭な結論に落ち着いたわけだ。誰もが聴いて一発で『スーパーマン』だ!とわかるあのジョン・ウィリアズムの名曲。アレがあってこその『スーパーマン』であり、あの曲をもってして原作のアメコミを超えたといっても過言ではないだろう。
ここでいつものごとく論点がズレまくるわけだが、「はて、そういえばこのところ映画音楽を聴いて頭に残る曲ってあんまりないよなあ」と思い至ったわけである。決して名曲がなくなった、というわけではないだろう。「いい曲だなあ」と思うものはあるわけだし。だが、『スーパーマン』のような、もっといえば『STAR WARS』でも『ジョーズ』でも『ゴッドファーザー』でも『太陽がいっぱい』でも『炎のランナー』でもいいんだが、ああいう映画音楽ってのに出会ってない気がするんである。この数年でみた映画の中ですぐに映画と音楽が一致して思いだせるのは『マトリックス』(多分三回見たからなんだろうな。でも同じく三度見ている『ロード・オブ・ザ・リング』は思い出せない)くらいだ。
これは単純に、映画界にジョン・ウィリアムズヴァンゲリスニーノ・ロータなどの作曲家の後を継ぐような存在がいなくなった、というだけのことなのか。それとも映画における楽曲の在り方が変わってきたからなのか。理由はなぜだかわからない。もしかしたらそう感じているのも私だけなのかもしれない。多くの映画ファンにとっては「最近の映画だってどれも音楽は記憶に残っている」というのかもしれない。ただ、私の記憶の中に残る昔の名画は音楽と共に記憶されていることが多いのだが、最近はそうではない、ということなのだ。毎度のことながらオチも何もありませんよ。