『百番目の男』ジャック・カーリイ(ISBN:4167661969)

これがデビュー作となる作品だが、既に映画化権が売れていて、世界9カ国での翻訳も決まっているらしい。それだけなら購入には至らなかったかもしれないのだが、訳者あとがきを読んだら「バカミス」の匂いがプンプンしたので手に取ってみました。
しかしこれが読んでみたら意外に(失礼)まともな警察小説(というほど群像的ではないが)。思いっきりレクター博士をパクッたり、アメリカ定番の恋愛模様が出てきたり、スカーペッタをもじったようなキャラが出てきたり、ステレオタイプなイヤミ上司が出てきたりするんですが、それはそれでちゃんと機能している(様にみえる)。話があちらに飛んだりこちらに飛んだりでなかなか乗れない部分もあるんですが、ここ最近のサイコを扱ったミステリとしては高水準だと思います。
で、問題のバカミス部分なんですが、確かにこの犯罪動機はスゴイ。というか映画化って、いやまあ映画向き、なのか?。ある一部分は予想が当たっていたんですがまさかここまでいっちゃうとは。いやはやサイコもここまできたかって感じです。ただ、これが「ありえない」とは言いきれないところが今の時代の恐ろしさよ。
シリーズものとして既に続編が書かれているみたいですが、この分ならまた楽しめそうなものが出てくるんではないかと。主人公の相棒であるハリーの造型がなんだか気に入ってしまったので、続編が出たら多分読みます。映画化の際は是非モーガン・フリーマンでお願いしたい。私は脳内変換して読んでました。兄貴も結構いい味出してるよ。無理だろうけどジョニー・デップで見てみたい。
ただタイトルの「百番目の男」の意味がよくわからない私はバカですか。そうですか。