ポイントカード、是か非・補遺

先日の戯言が、なんか知らぬ間にdominoの編集後記(id:domino)経由でカトゆー家断絶モノグラフに取り上げていただいていたようで、アクセスがもの凄いことになってます。こんな脳内妄想を曝け出してよかったんだろうか。まあ、今のところ叩かれたりもしていないようなので、よしとする。
で、多くの方が既に読んでいただいてからで申し訳ないんですが、一つ訂正。『新文化』への寄稿は日書連の理事ではなく、現在は流対協(出版流通対策協議会)の会長からでした。その立場(流対協は元々再販制度擁護のために設立された)からだとああいった内容になってしまうのは当然なのかと。まあ、立場の問題ではなく一読者からすると「なんだかなあ」に変わりはないんですが。とにかく、お詫びして訂正いたします。
ちなみに流対協のサイトはここ。トップから声高にポイントカードへの反対を表明しています。このあたりに書いてあることが、先日の新文化に掲載されていた内容とほぼ同じと考えていただいて構わないと思います。
で、日書連のフォローをするわけではないですが、『新文化』のその次の号(6/9号)では、新しく日書連の会長に選出された廣文堂書店の店長のインタビューが掲載されており、「ポイントカードの問題については、現状ではまだなんともいえないので、問題を見極めていきたい」と否定論ありきの立場ではない発言をしてらっしゃいます。廣文堂は私もたまにお世話になっている(少女マンガ系の雑誌は大概ここで買う)立地こそ神保町ですが、小規模書店なわけで、当然ポイントカードは導入していません。そういった立場からすると流対協の会長の言う「正直ものがバカを見る」立場側のはずですが、日書連としてはまず反対、ということではないということらしい。中小規模の書店が多くを占める日書連にとっては、大規模店舗やチェーン店舗が導入するポイントカードに対して複雑な思いもあるでしょうし、難しい問題ですが、今度どのようになっていくのか。印象深いのは、ポイントカードの問題も含め「出版社が書店側に責任を押し付けている」と語っていること。やっぱ、現在の出版業界は足並み揃ってないなあ、と感じさせる発言でした。
あ、そうそう肝心のid:dominoさんへの返信。確かにid:dominoさんがおっしゃる通り、ポイントカードサービスというのが魅力的なソフトか、と言われればそうではない(この辺は以前にポイントカードについて語ったので割愛)かもしれない。ただまあ、個人的には神保町での買い物が新刊に限っては三省堂を第一優先になったけど。それで、人が集まるか、といわれれば違うわな。
私が評価したいなあ、と思うのはソフトとしてのポイントカードではなくて、再販制度や旧態依然とした業界に対して、書店側が動きを見せた、ということだったりする。それもこれまでは一蓮托生として考えられていた出版社や取次に反旗を翻すような真似までして。だからこそ「違反だ違反だ」と騒ぐだけで、「ではどうすればいいのか?現状のままでどうにかなるのか?」という解答のない発言には疑問を持っちゃう。随分前になりますが、ブックオフ問題の時にも語ったように、凝り固まってジリ貧の出版業界に風穴を開けるような現象を私は歓迎する者なのです。しかしまあ、こんなことは実際に出版業界の現場で働いている人にとっては「他人事だと思って好き勝手言ってるなあ」と思われてしまうのだろうし、それは自覚しているつもり。ただ、だからといって何も言わず、というのも性格的に出来ないのでした。
あと、id:dominoさんの言う「粗利」に関しては、ここはどうやっても「取次」を外して語るわけにはいかないところで、色々調べて見てはいるんですが、まだまだ取次に関してはブラックボックスというか、秘密主義的なところが多くて、素人ではツッコミにくい。この辺のことを想像で語ってみるのも面白いんですが、さすがに今回は人の目が多そうなので、自粛します。