「ネタバレ」が作者に対する妨害、というのは確かにそうだろうと思う。だからといって「警句」をつけていることを非難されても、じゃあ「警句」がなけりゃもっとヒドイ目に遭う人もいるだろうと思うわけで、非難するならちゃんと的確に非難しないと意味がないよ、と思う。
と同時に、確かに作者に対する妨害だとは思うんだけど、本、ひいては作品というのは著作権という名の権利は作者にあったとしても、それらを共有する権利は読者にある、と私は考える。作品について「語り合う」ことを否定される謂れはこれっぽっちもないと思うし、それがなかったら文学だけじゃなく、全ての分野において進歩も練磨もないだろう。わざわざ公開しなくても、という意見もあるとは思うが、「共有するため」に、まず自分が「こう思う」ということを発表しなくては、もしくは発表されているものに対して「自分もそう思う」(逆もまたある)という行為は行えない。ここでいう「共有」は「同意」とか「同感」とは違いますよ。あくまでも「作品の共有」ということです。
要は感想でも書評でもなんでもいいけど、その書き手が何を求めて書いているか、ということだ。他者との共有を求めて(おそらく作者に対しても投げかけているとは思うが)書いている人にとっては、ある種のネタバレは必要事項であって、それを書くことは必然だ。しかしそのことが作者(または作者側の立場に立った人間)から非難をされても仕方がない。ただし、前述したように私のスタンスは「作品は作者だけのものではない」というものだから、非難はされても否定は受け付けられない。
そうではなくて、「本をお薦め」する意味で感想や書評を書いている人にとっては、ネタバレは逆効果なのかもしれない。言葉は悪いけど「作者におもねる」立場に立つなら、それを「妨害」と呼ばれてしまう危険性がある、ということは意識に置いておいた方がいいというのが今回の教訓ということなのではないだろうか。