蹴球微熱 キリンカップ 日本VSエクアドル

えーと、この時点で勝った負けたに一喜一憂する意味がわかりませんが、勝ったから良し、というわけではなく失点がなかったのがよし、得点したのがよし、という程度のレベルの試合でした。
この試合の注目点はいくつかありましたが、その中でも混迷する(と個人的には思っていないが)FW争い、というのがマスコミ的にも、ジーコの発言的にも大きなポイントとなっていました。柳沢が怪我のために実質脱落(もし直前で復帰した柳沢を召集したりしたら本気で怒り狂う)し、これまでのジーコジャパンのメンバーから考えると、高原、鈴木、大黒、久保、玉田、巻、佐藤寿人あたりが候補として挙げられ、おそらく高原は決定だと思うので(これも意味不明だが)、残る枠は3。で、上記メンバーの中から今回は久保と玉田がスタメン。この二人は昨年の欧州合宿でいいコンビを見せ期待されたものの、その後は仲良く怪我をしてしまい戦列から遠ざかっていた。Jリーグでもそこそこのパフォーマンスは見せているが、このエクアドル戦でどんな結果を出すのか。
結果からいえば「いい形は作ったものの、決定力に欠ける」という日本代表の代名詞そのままでした。特に玉田はジーコジャパンで7得点はしているものの、それ以上に「外してる」イメージが強い。シュート数が多いというのは認められることですが、やはり点獲らないと。久保は11得点とジーコジャパントップの得点ですし、得点率も高い。しかし、この試合は逆に久保の「決め」の強さが見られなかった。少ないチャンスを圧倒的な身体能力でチャンスに変える、というよりは、作られたチャンスを活かしきれてない、というパフォーマンスでした。今日のような試合ではそれこそ柳沢のようなFWの方が点獲れたかも。
チャンスが作れていただけに選手交代は後半30分という時間帯。一気に二枚同時に交代。巻と寿人。そして見事に結果を出したのが寿人。Jリーグでも絶好調だし、昨年のJリーグ日本人得点王ということもあり、今一番ノっている日本人FWかもしれない。ジーコジャパンでも途中出場で結果を出し続けているのが素晴らしい。この試合のシュートも「合わせるだけ」と本人は言ってましたけど、その角度で左足をあんな風に使うとは見事としかいいようがない。この得点率の高さはかつてのグランパスの森山を彷彿とさせる(余談だがなぜ彼をスーパーサブでもいいから代表に召集しなかったのか今でも疑問だ)。ただ、こういう活躍を続けてしまうと、ジーコの中では「スーパーサブ」というラベルを貼られてしまう可能性も高いですけどね。
Jリーグでの活躍、そしてこのエクアドル戦を見ると寿人の「合格」はほぼ間違いないように見えますが、コインブラさんの考えてることは一般人には理解できませんから油断は禁物なのか。ただ、もしこれで寿人が選ばれない、もしくはワールドカップの舞台でピッチに立ったのが15分、とかだったら頑張ってるJリーガーは悲しくなるでしょうね。
巻も悪くない動きでしたが、まあ与えられた時間が少なかった。それと、対南米というよりはクロアチアやオーストラリアという大型DF相手に彼を試す方が意味のあることなんじゃないのか、と思ってしまう。まあ、コインブラさんはきっと相手によってメンバーを代えるとかそういうのが嫌いなんでしょうけど。あと、基本的に高さを信用しないタイプですね。自分がそうだったから仕方ないのかもしれないけど。
そんなわけでFW枠としては海外組(=問答無用)で高原、多分大黒が決定。この試合で寿人が確定、枠はあとひとつ、という気がする。大黒が微妙だけど。本山はもう戻って来ないのね。
長々とFWについて語ってしまったが、その他の点。といってもねえ、エクアドルは日韓W杯の時から思っているけど「良いチーム過ぎる」のであまり参考にならない。プレスが弱い上にファウルも厳しくない。ある程度「やらせてくれる」チームなんだよね。ヨーロッパでいえばデンマークとかに近い。自分達に技術があるから殊更に相手を痛めつけるような試合はしないのだ。それゆえ「ワールドカップ査定試合」としては個々の出来以外はあまりあてにならない。
基本的には日本の時間帯というのが前半に15分、後半に10分くらいありました。それ以外はなんだかんだでエクアドルがペース握ってた。日本はボール持てるし回せるけどやらされてましたね。それを踏まえた上で、日本の時間帯でそれぞれのせんしゅがどうだったのか。
三都主でいえば、なかなか頑張っていたし突破もしていたが、彼の場合は「ある一定以上の能力を持つDF」と対面すると完璧に機能しなくなるので、オーストラリア、クロアチア、ブラジルというチームの右サイドのDF次第なんですよね。ボスニア・ヘルツェコビナ戦では見事に「一定以上」のDFが相手でまったく機能しない上に弱点にすらなってたからなあ。ただ、彼はおそらく100%に近い確率でスタメンなのでどうこういっても仕方がない。言えることはひとつ、ワールドカップ本番では左サイドからやられるだろう、ということだけです。それを前提条件とした上で、それ以上の貢献を彼が出来るかにかかってる。
小笠原はねえ、今日の試合では評価しにくい。というかいつもそうだけど、「いいプレー」はしてるんだよね。ただトップ下としての決め手がない。そつがない割にミスも多いし。だからこそ今日は途中からでも長谷部が見たかった。なんで出さないんだよ。加地は今日は消えてましたね。伸二もなあ、J見ててもそうだけど今は100%には程遠い感じ。光るプレーはあっても結びつかない。福西はいつもどおり、誰とでもバランス取れる。私だったらボランチの一枚は間違いなく福西。まあ、ジーコもほぼそのつもりだから今回は遠藤を試したかったんだとは思いますけどね。遠藤はどうなんだろう、厳しくなったね。
DF三枚は、まず3バックなのか4バックなのか未だに決まってないわけで、どうなるのよ、って感じ。今日の試合でも3バックがいいね、という感触は得られなかったし。ただそれでも宮本と中澤はよほどのことがない限り決まりでしょう。となると3バックの場合のみ坪井か田中誠かという話になるんだけど、オーストラリア、クロアチアには坪井、ブラジルにはマコというのが私はベストセレクトだと思う。がしかし、ジーコはそういう考え方はしないだろうな。
キーパーはもう能活以外の選択はないと見ていいでしょう。実際使われてないし。あとの二人はもうサブ決定ですね。ただし、セカンドセレクトがどっちなのか、というのはわからない。
そういう意味ではこの試合は選手達だけでなく、ジーコ査定試合でもあったし、ジーコ自身もワールドカップを想定して戦って欲しかった。その意味ではやはりジーコは失格。現時点での親善試合で「勝ち負け」にしかこだわれない監督なんて意味がないでしょう。交代枠を使い切れない(昨日は何枠あったのかしらんが少なくとも一枚は残してしまった)、GKのセカンドセレクトも決まらないままだ(川口が怪我したらどうするのか)、テクニカルエリアに通訳と二人で入ってしまう(本番では監督しか入れない)、ジーコが自分自身に「本番モード」を与えていなかったのは確実だ。
やはり日本代表、というか“ジーコジャパン"に期待をしすぎるのはよしておこう、と思った。結局“トゥルシエの遺産”みたいなもんだしなあ。ドイツワールドカップが終わった時、代表監督が代わって、どんな代表チームが出来るのか。正直、上手く世代交代をしてきていないこのチームを見るにつけ、そのトゥルシエの遺産すら食い潰すだけに終わってしまうのではないかと不安になってしまう。