蹴球微熱 FIFAワールドカップ2006 準決勝 ポルトガルVSフランス

クリエイティビティであること、つまり創造性に富むということは通常サッカーの世界において「攻撃」の要素として語られる。しかし、この試合を見て思ったのは「守備」におけるクリエイティビティということだった。
フランスの「還ってきた三銃士」、つまりジダンマケレレテュラム、中でもマケレレテュラムが見せてくれた芸当は、いかなる選手の攻撃も「読みきる」という姿だった。つまりそれは、クリエイティビティ溢れる攻撃を知った上で、さらにそれを上回る守備を敢行するということに他ならない。一般的にはそれを「経験」という言葉に置き換えるわけだが、今回の試合とその前のブラジル戦を思い浮かべると、やはり守備にもクリエイティビティが存在すると思わざるを得なかった。それくらいマケレレテュラムの守備は凄かったよ。そして、フランスを救うために戻ってきたジダンが同時にこの二人を呼び寄せた意味の深さ。
そんなことを考えつつ見ていたので、試合内容としては比較的退屈な内容だったけれども興味深く見れた。ポルトガルを好きではない私としては、ポルトガルはレフェリーに救われてるな、という皮肉な見方をしつつ(4年前とやってることがあまり変わらない。パウレタはまたシミュレーションでカード喰らってもおかしくなかった)、バルサファンとしてはマケレレ(とヴィエラ)に完全に抑え込まれたデコの姿を見て残念だったり。まあでもすぐに転んでファウルを要求するばかりのサッカーというかチームはどうしたって好きになれん。レフェリーはオランダ戦のこともあっただろうし、決勝戦のことも考慮してカードを出さないことをかなり意識していた。個人的には出すべきときには出してもいいと思ったが、まあFIFAの意向もあるだろうしね。
さてこれで決勝戦はイタリアとフランスになったわけだ。守備のクリエイティビティということでいえば、フランスは上記の二人、そしてイタリアにはカンナバーロがいる。それを考えると、8年前の対戦(準々決勝)同様スコアレスドローPK戦、という結果になることも考えられる。決勝でスコアレスドローPK戦といえばアメリカ大会でのバッジョを思い出す。イタリアとしてはなんとかPK戦の前で決着をつけたいだろう。個人的にはPK戦という結果になっても面白い試合が見れそうだ、と今日の内容から感じた。マケレレテュラムカンナバーロを見ているだけでもかなり楽しめますよ。
90年イタリア大会の時はドイツが優勝。イタリアはそのお返しとばかりに優勝を狙ってくるだろう。