アナログでいってみよう

ドイツ旅行の写真を現像に出していたのが出来上がった。今回の旅ではデジタルカメラをやめ、アナログカメラ(ただしAPS)を持っていったのだ。
というのも、ここ数年まったく写真を撮らなくなった自分がおり、デジカメもどこにあるのかすらわからないようになってしまった。私のPHSにはカメラ機能もついてないし(正確にはオプションでつけることも可能だが実用レベルの画像にはならない)、「写真を撮る」という行為自体からすっかり離れてしまっていた。
デジカメで写真を撮ると、その場で何がどう撮れたのかがわかってしまう。だからこそ失敗した時は撮り直すということが可能なわけだが、確認をした時点で既に「撮ったものを見た」という行為を終えてしまう。場面や風景が記憶された、という安心感。だから、その後もメモリがいっぱいになるまでカードからPCに移さなかったり、PCに移したとしても画面上で一度見たら終わりだったりする(下手すると見ないものすらある)。なんとなく「撮った」ことに満足して終わってしまうのだ。
ただ最近、昔のアルバムを眺める機会があり、それをパラパラ捲りながら思ったのは、「撮ること」が大事なのではなく、「見ること」の方が大事、というか楽しいということだ。私がカメラに求めていたのは「残す」ことではなく「残しておきたかったものに再会する」ことだったはず。
そんな気持ちになったのでアナログカメラを持っていき、その場その場ではどんな写真が撮れているのか不安になりつつも、現像から上がってきた写真を取り出して眺めてみたら思いのほか楽しかった。
もしかしたら、この間隔がいいのかもしれない。旅を終えて暫しの時間が経ち、記憶が薄れ掛けた頃に呼び覚まされる思い出。あの時フィルターを通して見た風景が、こんな風に残っていたのか、という驚き。自分にとってのカメラ、写真の楽しさというのはそういう部分にあったのかもしれない。
フィルム代も現像代もかかるし、枚数制限もある。そういう点では不利なアナログカメラなんだけど、しばらくはデジカメから離れ、アナログで行こうと思う。見返しもしない写真を何枚撮っても仕方がない。そんな気持ちになった。