『JAIL BREAKERS』G2プロデュース

作・演出:G2、出演:松岡昌宏須藤理彩河原雅彦篠原ともえ、コング桑田、三上市朗久ヶ沢徹植本潤、川原正嗣、前田悟、久保酎吉、大高洋夫
そんなわけで今回のG2プロデュースはTOKIの松岡昌宏主演で、しかも芝居とバンドの融合、という普段のG2とはかなり毛色の違った舞台となった。その意味では結構不安もあったかな。特に前売り時にG2HPで三上、植本、久ヶ沢のインタビュー読んだときは(笑。
舞台正面前から四列目という特等席だったので、非常に良く見えた。グローブ座は上手下手にも座席があって、かなり特殊な視野設定になっているんだけど、今回のG2演出はそのせいもあってか久々(失礼)に「やるなあ」と思う演出が満載だった。ただまあ、客席からの登場は使いすぎだと思ったけど。
ストーリーとしては、友人を殺害した犯人に仕立て上げられた主人公(松岡昌宏)が、友人との約束を守るために「ムショロック」という刑務所対抗のロック大会を利用して脱獄する、という話。ストーリー的にはまあ後藤ひろひとと組んでるときのような良さはないんだけど、ストーリーがシンプルで、わかりやすい分楽しめた。見終わってこんなにスッキリとした気分になったのは久し振りかもしれない。
松岡昌宏は個人的には好きなタレントであって、今回も主演と聞いても特に不安はなかったのだが、予想以上によかった。まず、声。舞台上でしっかりと聞かせる声が出せる。それも張り上げるわけでもなく、普通の台詞でもちゃんと声が通るのがよかった。役柄のせいと連日の公演のせいでややダミ声だったのだが、機会があれば彼の普通の役柄での芝居も見てみたいと思ったよ。こういうところがジャニーズは侮れない。
で、その松岡昌宏を中心に話は進んでいくわけだが、今回はなんといっても久ヶ沢徹が美味しいところを持っていきまくった。まあ、河原雅彦もある意味ではそうだったのだが、あれはまあ一発芸みたいなもんだからなあ。ストーリー上でのギャグの殆どは久ヶ沢だし、キャラとしても刑務官として囚人の対角に位置していながら、最後には観客を味方につけちゃうという美味しい役。これでジャニーズファンにも認知されれば一気に売れるんじゃないかと思うくらい今回の久ヶ沢はよかった。いや、やってることは恐ろしいほどにいつもどおりなんだけどね。そのいつもどおりが面白いから仕方がない。
個人的に困ったのが須藤理彩篠原ともえ。特に篠原ともえは彼女が出るってだけで見るのやめようかと思ったほど苦手な存在。でもまあ、今回は舞台が監獄ということもあり、女性二人は完全に添え物だったので、個人的には助かった。篠原ともえがバンドのボーカルで、須藤理彩も劇中で歌うんだけど、歌もキツかったなあ。特に須藤理彩の歌にはこっちが不安になりましたよ。
大高洋夫をエライ久し振りに舞台で見たわけですが、まったく予想していなかった悪役ぶりに驚き。こちとら第三舞台時代と、テレビの『子供ほしいね』とか『たほいや』のイメージしか持ってないわけで、のほほんとしたキャラが持ち味だったはずなのに、今回はメッチャ悪役。それがまた堂に入ってて嫌なんだ。のほほんキャラが嫌な役やるとホントに嫌になることが多いけど、そのパターン。おかげで、勧善懲悪としてのカタルシスは高かった。
三上ファンとしては出番が少なかったのがとにかく残念。G2最近三上さんに冷たくね?。『天才脚本家』や『ゴーストライター』の時のような三上さんがまた見たい。植本潤は相変わらずの年齢性別善悪不肖キャラが極まってた。ただ、キャラ設定的にはどうなん?という感じではありましたが(うやむや感が漂いまくり)、それは役者のせいではないからなあ。あとこの日はコング桑田が絶不調。頑張ってくれ。久保酎吉はさすがベテランという味で、最後にドラム叩き始めた時は「うぉ!」って思った。
全体としてアクション、コメディ、サスペンスの要素が程よくミックスされた芝居で、音楽部分で普段とは違う役者の姿を見られたりと、サービス満点でした。たまにはこういう芝居も悪くない。