『桜庭一樹読書日記』桜庭一樹 【bk1】

読書日記とはいえ、日記には違いないわけで、日記にレビューも何もないと思うのだが一応。まあ、よくもこれだけ本を買って読むことができるなあ、というのが率直な感想である。書評家でもこれだけ読めるもんだろうか。その上で創作までこなしてるんだから、「桜庭一樹は二人いる。書くほうと読むほうだ。」と言われても信じそうである。
あとはまあ、周囲を固める東京創元社の面々のエピソードが笑える。この辺は微妙な事情もあって人一倍笑える。でもそんな東京創元社のメンツも敵わないのが、桜庭一樹のご両親なわけだが。特にお母さんいい味出しすぎ。
そんな感じで楽しく読みつつ、これだけの量の本が紹介されていると「読みたい」という意識すら遠のきそうになる。もうなんつうか達観。自分はとてもじゃないが本好きとかいえない、とか思えてくる。趣味は読書、なんて恥知らずでいえません。
同じように創作者を目指しているものが読んだら、「これくらい読んで、これくらい苦しまないと小説は書けない」ともしかしたら思うかもしれない。ある種の業のようなものを感じるのも事実である。
当たり前のことなのかもしれないが、これだけの量の本を読み、そしてこうして読書日記を書く上で、文体がぶれないってのが凄いなあと思った。私なんか印象的な本読んだらすぐに影響されますからね。それがプロの作家、しかもキャリアのある、ということなのかもしれないけど。