マンガの貸与権

マンガ家(申し訳ないが知らない人だ)の高波伸のブログどぇ〜すで知った「出版物貸与権」に関する記事。内容を整理すると。

  • マンガ喫茶貸与権であるから当然ブックオフは関係ない)に対してではなく、TSUTAYAなどをはじめとするCDVJ(CD、DVDレンタル組合)との基本合意
  • 550円未満の単行本に関しては、新刊、中古本に関係なく210円/冊の使用料が徴収される(一度きりなのか、それとも貸し出される度なのかは不明)
  • 新刊の貸し出しに関しては発行から一ヶ月は禁止

という内容らしい。上記に書いたようにあくまでもCDVJとの合意なので、組合に加入していないところには関係がないということになるのか?。ちなみに実際に交渉を行った出版物管理センター(RRAC、レラックと読むらしい)は「21世紀のコミック作家の著作権を考える会」が中心に設立された有限責任中間法人で職員は三名だそうだ。どうでもいいけど、毎日このビルの横を通っていて気になっている。

さて、これがどんな影響を及ぼすのか。今のところ全然見えない。高波伸自身が書いているように、

当初はブックオフマンガ喫茶をどうにかしたかったのだが、攻め方が見えずどうにもならないので、

RRAC(に属する団体)の本当の狙いはブックオフマンガ喫茶であろう。その先には図書館も見えているかもしれない。ひとまずマンガに関して何らかの形で「貸与権」が認められたということについては変化が見られたということだ。
一冊につき、210円、という価格は単純に考えれば、主要流通であるコミック単行本が約420円(出版社などでばらつきはあるが)なので、その半額ということだろうか。これが一冊につき一回きりということであれば、定価に+210円のマンガを買って貸し出しするということになる。文脈から察するにそういうことだろう(貸し出し一回につき210円だったら誰も借りない)。回転すれば回転するほど、この210円は消化されていくわけだから、レンタル店にとっては仕入原価が高くなったということだ。一方著作権側にとってはマンガを仕入れたレンタル店の数だけ、著作権料が入るということになる。CDVJに加入しているレンタルコミック店がいくつあるのかはわからないが、仮に100店舗として、自分のコミックが10冊置いてあれば、100×10×210=210,000となる。21万円のうち、作家の取り分がいくらになるのか。仮に5割だとしたら10万5千円。ふーむ*1
まあ今回はあくまでもCDVJとの交渉だったわけで、これが他の範囲まで広がるのか、そうでないのかはわかりません。そういう意味では実質的な金額よりも、まずは貸与権による対価収入が認められた、ということが大きいのでしょう。
こうしたレンタルコミックをはじめ、マンガ喫茶、ひいてはブックオフのようなコンテンツの二次利用者と作家をはじめとする著作権を持つ側が色々と話し合って試行錯誤を含め、動きがあることはいいことだと思うのですが、ややもするとユーザである消費者の存在を忘れた方向に行ってしまいそうで危惧してしまいます。この辺の問題についてはまた別途書いていたんですが時間切れなので後日。
<参考>上記エントリに対して、言及しているサイト。

*1:実際にはそれプラス通常の著作権料がし支払われているが、これは今までも同じだったので勘定には入れない