K-1 MAX 2006開幕戦

全体的に面白い、いい試合が多かった。主催者とテレビ局側の明らかな贔屓はまだ問題として残るが、選手は頑張っていたと思う。特に、半シードともいえる有名選手たちに対する「かませ犬」的な扱いを受けている側の無名に近い選手達の頑張りが素晴らしかった。中には「こっちがトーナメントに残ればいいのに」と思う選手もいたし。
小比類巻貴之VSイム・チビン
八ヶ月ぶりに怪我から復帰の小比類巻。相変わらずK-1側の小比類巻プロテクトは健在。イム・チビンは本来一階級下の選手なのでさすがにスピードはある。パンチの回転も速い。小比類巻は相変わらずの「待ち」の体勢で困った時は反則クリンチ。変わってねえなあ。チビンのパンチは当たっているが、軽いのか倒すまでには至らない。3Rまで優勢に見えたのはチビンだったが、結局打たれ続けたローのダメージでダウン。さすがに小比類巻のローをあれだけ食らうとなあ。小比類巻は勝ったが成長の後は見られず。やはり好きになれない。
佐藤嘉洋VSマイク・ザンビディス
ザンビディスファンとしては頑張って欲しい試合だが、佐藤の巧さは健在でザンビディスがまったく中に入れない。入ってもカウンターで膝が来る。佐藤はまったく焦らず落ち着いてローと膝でコツコツとダメージを与えに来る。軽く打ってるんだけどタイミングがとにかく絶妙で相手の間を突くのがホントに巧い。圧倒的な佐藤優勢で進んだ試合だったが、一瞬の隙をついてザンビディスの左フックがヒット。これでぐらつく佐藤。俄然ザンビディスペース。ここから後は「一発が当たるか、蓄積されたダメージで倒すか」というシビれる試合展開。結局このまま3R終了。判定で佐藤が勝利。判定だったけど、逆に最後までドキドキが続いた試合。やはりザンビディスの絡む試合は面白い。佐藤の試合では一番楽しめた。
アンディ・サワーVSツグト・アマラ
昨年度チャンピオンのサワーとモンゴル出身とはいえ日本で既にキックチャンピオンSHINOBUとして名を知らしめているアマラの試合。アマラも本来階級はひとつ下のこともあってとにかくスピードが速い。というか回転力、突進力が止まらない。接近戦は本来サワーの得意なスタンスだし、コンビネーションが売り物なのにアマラの回転に負けている。超接近戦での打ち合いなのでなかなか有効打は出ないが、前に出ているアマラに好印象。結局判定。アマラ、サワー、ドローという判定。正直チャンピオンプロテクトな気がする。しかし延長になって真価を発揮したのはサワー、というよりもアマラはスタミナ切れ。チャンピオンに対するのだから3Rで全てを使い果たしていたのだろう。判定でサワー。薄氷の勝利。アマラは次も見たい。
アルバート・クラウスVSアリ・グンヤー
なんかいきなり3Rからでした。ええ!?。因縁の対決らしいがよくわからない。終盤のフックの打ち合いは興奮したがそれだけ。判定でクラウス。1、2R飛ばされたらなにもわからんちゅうの。
ブアカーオ・ポー・プラムックVSヴァージル・カラコダ
カラコダいい!。というかブアカーオがイマイチ。K-1は今年から首相撲が禁止になってその影響をモロに受けている感じ。先日のシュルトの試合の二の舞か。それにしてもカラコダのパンチがいいね。ブアカーオはかなりダメージもらってる。踏み込みが早くて得意の前蹴り、左ミドルで突進を止めることが出来ない。耐え忍んで3R判定まで。ここでドローの結果はプロテクトだとしてもまあ仕方がない。延長に入ってブアカーオもパンチで応戦。ただやはり打ち負けていた印象だったけど結果は判定ブアカーオ。これはちょっとカラコダが可愛そう。ブアカーオがここで落ちるのも見たくはないが。試合後インタビューでの「負けた理由をもう1つ挙げるとすれば、ブアカーオの方が自分よりハンサムだったことだ。」というカラコダのコメントイカす!。
ドラゴVSオーレ・ローセン
ドラゴという名前を聞くと反射的に『ロッキー4』を思い出してしまうのは私だけですがそうですか。基本的にゴツイパンチ同士の打ち合い。懐かしのシカティックが二人いるみたいな試合。とはいえ2Rしか放送されなかったので詳細は不明。判定でドラゴ。一発あるのが面白そう、くらいか。
魔裟斗VSレミギウス・モリカビュチス
K-1としてはよく魔裟斗レミギウスを組ませたなあ、と。波乱もあるかもというマッチメイク。相変わらずレミギウスが早い。序盤は魔裟斗も結構パンチもらう。しかし致命的な膝だけはしっかり回避。レミギウスはやはり階級が軽い分、連打、下からの突き上げといったパンチ、もしくは膝が決まらないと倒しにまでいかない。魔裟斗はそこら辺をしっかり見切ってあとはローと早いパンチで応戦。レミギウスとしてはある程度「やらされている」感じだったのかも。結局この展開が2Rまで続き、ボディに膝が何発か入った時点でレミギウスサイドからタオル投入。それほどダメージがあるようには見えなかったんだが、インタビューとか読むとレミギウスはコンディションに不安があったのかも。とにかく魔裟斗が勝利。まあ、いつもどおりの巧さが目立ったけど、KOできる、という印象はあまりないなあ。どうしてもあと一歩の踏み込みが足りない感じ。
そんな感じで、とにかく「優勝候補と当てられた」選手の頑張りが目立った試合。
アマラもカラコダももっと見たいし、ザンビディスレミギウスはやはり今後も一戦で活躍できるだろう。というかこの四人は階級的に一個下なので、この四人がいるならもうひとつ下の階級トーナメント作っても面白いんじゃないのか。グランプリもこの調子で盛り上がることを期待。