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• 『少女ファイト -1-』日本橋ヨヲコ　【bk1】
  これは傑作になる。間違いない。日本橋ヨヲコだから当然といえば当然だけど。『G戦場ヘヴンズドア』ではマンガという自己投影も含めたテーマで素晴らしいものを書き上げたが、今回はバレーボールがテーマ。ただ、そこはそれ日本橋ヨヲコですから単純なバレーマンガではありません。幼い頃にバレーの天才少女だった姉を亡くし、自らのバレーの世界に入ったが、そこで途轍もないトラウマを抱えてしまった練（ねり）。彼女は自らの才能を殺しながらバレーを続けている。その練を周りで支える滋とミチル（♂）の兄弟。こういった人物たちの描き方が素晴らしいにもほどがある。日本橋ヨヲコは「才能を持つ者の苦悩」を描かせらたら右に出る者はいないですね。ホントに素晴らしい。続きが楽しみで仕方がない。

少女ファイト(1) (KCデラックス)

• 『ハチミツとクローバー -9-』羽海野チカ　【bk1】
  やっと買えた。ええー！こんな展開！？。大団円に向けて動き始めるのかと思ったら、波乱というかなんというか。真山とリカさんはどうでもいいとして（あとはレールが引かれてるだろう）、ここにきてまさかはぐが。このアクシデント自体はベタで、ちょっと残念な部分もあるんだけど、竹本、森田、そして修ちゃんという三人それぞれがはぐに対してそれぞれの接し方を取っているのがとてもいい。年寄りとしてはやはり修ちゃんの態度は憧れる。森田の生い立ちはまあ味付け程度ですかな。この兄の気持ちはよくわかる。「持たざるもの」は本当は何か持っている。ただそれは自分が本来求めた物ではないんだよな。そこで折り合いがつけられるかどうかで皆悩んでいるのだ。竹本の自戒をかつての自分の言葉のように読んだ。

ハチミツとクローバー 9 (クイーンズコミックス)

• 『ジパング -24-』かわぐちかいじ　【bk1】
  「みらい」を奪還すべく動き始めた角松たち。しかしそれも草加の掌の上のことなのか。死んでからも梅津艦長が渋い。日本とアメリカそれぞれが最終決戦に向けて動き出す。みらいは、そして核は。どんな決着になるのか読めないなあ。

ジパング(24) (モーニング KC)

• 『神の雫 -7-』　【bk1】
  みやびをかけてのワイン対決。ブランドに負けない無名ワインを探す神崎たち。まあ、結果は目に見えてるわけですが、いつも以上にワインの名前が膨大に出てきます。途中マスターのエピソードが入ったり（今時「つま恋」ってベタ過ぎる割に若い人は知らんだろう）。ワイン薀蓄マンガ以上のものはなにもないですが、薀蓄だけでもそこそこ読めてしまうから不思議。

神の雫(7) (モーニング KC)

• 『説得ゲーム』戸田誠二　【bk1】
  もともとWeb上で「コンプレックス・プール」というサイトを開設して、そこでずっとマンガを描いていた戸田誠二。その時代からずっと好きだったんだけど、単行本を買うのは我慢していた。まあ、Webで読んでる作品が殆どだったからなんだけど。それでも今回は我慢できずに買ってしまった。この人の場合はとにかく上記のサイトで読んでみて欲しい。それで気に入ったら買って読んでくれ。諦観にも似た醒めた雰囲気と、それでいて最後に救いの手を差し伸べるその手法がとてもいい。この単行本も【クバード・シンドローム】以外は全て既読だったけど、改めて読んで良かった。強いインパクトは受けないけど、すっと心に染み入ってくる。

説得ゲーム (Next comics)

んでもって三省堂でお試し立ち読みできたので↓を読んでみた。

• 『カラクリオデット -1-』鈴木ジュリエッタ　【bk1】
  ネットでの評判はよかったから気にはなっていた。いわゆる「ロボットもの」で、天才博士に作られたオデットというロボットが人間と関わることで色々なことを感じたりする、という昔からある設定を使って、新鮮味はないけどしっかり描いているとは思った。ただまあ、個人的には『PLUTO』が連載されている今、「ロボットの苦悩」というものを描くにしてはちょっと浅いかな、と。花ゆめコミックスとしてはこういうのがあっていいと思うけど。もう少しSFがジェットだったり、今風の味が入ってれば買っても良かった。ただ、類似作品に比べて秀でているという部分もない気がする。やっぱ『パタリロ』のプラズマXとアフロ18とか（もちろんプララも）、サイボーグまで広げたら『ブルーソネット』とか、あの時代を知っているものとしては、もう一味欲しかったところ。

カラクリオデット 第1巻 (花とゆめCOMICS)