• イキガミ -1-』間瀬元朗 【bk1】
    というわけで読み終わったので感想を。とその前に、この画はどこかで見た覚えがあると思ったら東野圭吾の『変身』を漫画化した『HEADS』の作画者なのね。
    昨日も書いたように、「国歌繁栄維持法」なる法律が存在するという設定で、国民は1000人に一人が18歳から24歳までの間に死ぬ運命を国家によって背負わされている。これは、「自分が死ぬかもしれない」という思いを背負って生きることで国が繁栄するという思想のもとに行われている。そして、この「死」に選ばれたものは国家によって管理され(ただし死の直前まではわからないようになっている)、死の24時間前に「死亡宣告書」が送られる。これを通称「逝紙(イキガミ)」と呼んでいる。
    この1巻では幼い頃イジメに遭い、漸くそれを乗り越えようとしている青年と、街頭からデビューしたものの、歌の世界で泣かずとばずの新進アーティストの二人の「死までの24時間」を描いてる。
    正直にいえば、そこ(どこだよ)までの感動はしなかった。それはページ数の配分もあるとは思うが、二人のエピソードに裂かれている量が少なくて、彼らにできる感情移入が少ないのと、どうしても最終的には美談チックにまとめられてしまっている点が逆に考えてしまうから。それでも「残されるもの」という部分を活かしている点は好感が持てた。
    ただ、この設定とエピソードが内包するテーマは単純に割り切れるものでもなく、とても魅力的であることも事実で、物語に浸りきれなかったことの大きな原因はもしかしたら、「この設定で自分ならなにを書く」という思いが頭にずっとあったからかもしれない。それくらいに設定は魅力的である。それこそ、多くのマンガ家、作家がこの設定でなにを書くか読みたいくらいだ。
    その意味では美談にこだわらなければどれだけでも書ける話でもあると思うし、国家側からの話も書こうと思えば書けると思うので、この先が楽しみ。2巻も買います。ある意味では『国民クイズ』くらいはじけた部分が出てきても面白いかもしれないとすら思う。

イキガミ―魂揺さぶる究極極限ドラマ (1) (ヤングサンデーコミックス)

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