『大東京トイボックス -2-』うめ 【bk1】

月山いいよ月山ハァハァ。ではなく。よく考えたら1巻とかまともに紹介してなかったんで最初から説明すると、もともとは『東京トイボックス』として『週刊モーニング』に連載されていた続編。現在の連載誌は『コミックバーズ』に移ってますが。ゲーム会社を舞台に、そこで納期と会社としての立場とクリエイターとしての精神と戦う弱小プロダクションG3の天川太陽とその仲間達を描いたアツイ作品。
ある意味ではゲームという商品はクリエイトされるものでありながら商売と切り離せない代表的な存在であるだけに(広告もそうだが、アレは特殊すぎるし)、その意味での葛藤とかを描くにはとても相性がいい。これがマンガや小説だとまだクリエイトの方向が強くなるし。なによりひとりじゃなく、多くの人間が関わるのがいい。
意外にドロドロした業界構造とかが入り込んでくる割にはとにかく絵柄とテンポがテンションを上げる方向に向かっているので、嫌な気持ちにはならない。『東京〜』の方では大手IT企業のエリート社員(でも変)だった月山がG3に出向させられてゲームバカの太陽と出会う、という話。要するに採算度外視というスタンスのクリエイターとエリートビジネスウーマンのぶつかりあいがメインでした。それに対して『大東京〜』では新人社員のモモを配置することで二人の関係をちょっと俯瞰し、そして金のことなど何もわからないし責任もない視点を組み込むことで、ゲームを作ることを商売にする、という難しさをわかりやすく見せています。
なんつーかそれこそ日本橋ヨヲコの『G戦場ヘヴンズドア』のような創作者達の戦いをもう少しビジネス要素を付加した感じ、その分人間関係のドロドロはやや薄めで、気楽に読めるかな。個人的にはゲームはあまり詳しくないし、今もそんなにやらないんだけど、こういう現場の人たちの姿は大好きなので、オススメな作品です。ただ版型が変わった新装版が出たことだけは許さん(これも『G戦場〜』と同じだな)。

大東京トイボックス(2) (バーズコミックス)

大東京トイボックス(2) (バーズコミックス)

東京トイボックス(1) (バーズコミックス)

東京トイボックス(1) (バーズコミックス)

東京トイボックス(2) (バーズコミックス)

東京トイボックス(2) (バーズコミックス)

大東京トイボックス(1) (バーズコミックス)

大東京トイボックス(1) (バーズコミックス)