『花よりも花の如く -5-』成田美名子 【bk1】

なんだろうな、『NATURAL』くらいからその傾向はあったのだが、ことさらに感動的なシーンでもないし、著者も泣かせようとしているわけでもないようなシーンでも、グッときてしまうところがよくある。ミカエルや憲人の純粋(単純)な目を通して描かれた事実や人間の姿がとても美しくてたまらなく感じる時がある。これは汚れたフィルターしか持たず、彼らのような目線でものを見れなくなってしまった自分に対する憐憫なのか、それとも現代では目にすることもなくなってしまった事実に対する憧憬なのか。ただもう、成田美名子のマンガは単純に「マンガ」という枠で読めるものではない気がしている。この作品が特に「能」という伝統芸能をテーマにしているからかもしれないが、成田美名子のマンガも伝統芸能に近づいてきた感じすらあるなあ。というか、マンガというカルチャー自体がそういう部分を持ち始めているのかもしれない。
そんな成田美名子原画展がなんと能楽堂で行われるらしい。ちょっといきたいなあ。成田美名子のプリマグラフィーなら買ってもいいかもなあ。

花よりも花の如く 第5巻 (花とゆめCOMICS)

花よりも花の如く 第5巻 (花とゆめCOMICS)